6日(2013年6月)、日本維新の会の橋下徹共同代表(大阪市長)は安倍首相に会い、沖縄の負担軽減のために普天間基地に配備されているオスプレイの訓練の一部を、大阪・八尾空港で引き受けると提案した。実現性を疑問視する見方が強く、いぶかる声も多い。
橋下市長言ってみただけ?「あとは国が調査して」
実現性が疑問視されている最大の理由は八尾空港の場所だ。昭和9年にできた空港で、当時は原野だったが、いまは住宅の密集地である。空港周辺1キロ圏内に小中高校が11校もある。空港は現在、自家用機や警察、消防が航空基地として利用しているが、2008年には軽飛行機がエンジントラブルで近くの国道に墜落する事故もあった。
唐突な提案に寝耳に水だった八尾市の田中誠太郎市長は、「まったく何の説明もない。言うだけ。言ったあとは、国が調査したらいいと非常に無責任な発言」と怒る。これに対し橋下は「今の段階では説明できませんよ。今まで検討したことないんですから。これから政府が検討して説明が出てくると思うが、その段階で判断すればいい」という。
公式に提案なら、下調べをして実現の可能性にある程度のめどをつけてからするものだ。これでは普天間基地の県外移設を声高に叫び、結局実現できずに大騒動になった鳩山元首相と同じではないか。
「米海兵隊が訓練できる演習場必要」
司会のみのもんた「オスプレイが危険だとか、事故が多いという問題もさることながら、軍用機だということを考えたほうがいいんじゃないですか。軍用機の訓練に相応しい場所かということを考えないと…」
コメンテーターの与良正男(毎日新聞論説委員)は「沖縄の負担を分かち合うことについて批難すべきでないが、市長さんの言うことも説得力がある。まず実現の可能性があるのかどうか、水面下で検討してみて、可能性があり、アメリカもよしとしているということであればいい。今回は唐突で、動機がねえ。検討しますで終わってしまうんではないですか」と切り捨てた。
ある政府関係者は「八尾空港でオスプレイの訓練をするという提案は的外れ。周辺に米海兵隊が訓練できるような演習場もなく、非現実的だ」と一笑に付したらしい。