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三浦雄一郎を真似するな!富士山頂に「高齢者番付」後断たない年寄りの無謀登山

<「概算で約一億五千万円です。うち約一億円がスポンサー、約一千八百万円がサポーターの方々からの支援金です。残りの約三千万円は、三浦個人が講演料などで得た収入でまかないました。内訳は、今回のエベレスト登頂に要した費用は約三千万円です。エベレストの入山料七百万円のほか、酸素ボンベが五百万~六百万円、そして現地のシェルパの報酬、スタッフの保険料、航空券代などを合わせた額です」>

   三浦雄一郎氏の80歳7か月でのエベレスト登頂は快挙だが、『週刊文春』はそのためにいくらかかったかを関係者に聞いて報じている。余計なお世話、カネの問題ではないという声も聞こえてきそうだが、週刊誌というもの、素朴な疑問に答えるのが主要な役割の一つであるから、私は興味をもって読んだ。テレビで見ても、三浦氏を助けるスタッフが多くいたことは見てとれる。

   私も相当な費用がかかっただろうと推測し、1億円から2億円ぐらいかなと思っていた。これだけカネを集められる三浦氏はすごいと思う。私の知っている世界的なクライマーは、アルバイトに精を出し、知り合いや企業を回ってスポンサーになってもらうことを頼み込み、何年もかかけてようやく登頂する。失敗すればかなりの借金を抱える。また何年かは借金と再チャレンジの金を稼ぐためにアルバイトに精を出すのだ。

   今回、三浦氏とは正反対に、カツカツのお金でヒマラヤの世界第7位の高峰ダウラギリ(8167メートル)登頂を目指した河野千鶴子さん(66)は、三浦氏がエベレストの山頂に到達した5月23日の夜、疲労で体が動かなくなり亡くなった。河野さんの夫・昌治さんがこう語る。

<「実はもうお金が尽きていたのです。今回の費用も、入山料、二人雇ったシェルパ代など、約二百万円くらいはかかったと思います。最後の挑戦だったのだから、せめて頂上に立たせてやりたかった……。本人も悔しかったと思います」>

   公表されている三浦氏の遠征隊リストを見ると、錚々たる布陣である。アタック隊が三浦親子のほか日本人2名、アタック隊サポートメンバーが日本人2名、ベースキャンプサポートメンバーがドクターなど日本人3名。コックを含めたシェルパが18名の総勢27名の大部隊だった。

   それでも三浦氏の超人的な体力がなくては叶わなかった快挙ではあるが、彼に触発されて中高年の無謀な富士登山が増えるのではないかと、静岡県警本部地域部山岳遭難救助隊の眞田喜義隊長が警鐘を鳴らしている。

<「中高年の登山者は十五年ほど前から増え始めました。富士山頂には毎年『高齢者番付』という登頂者の年齢を順位付けした記録が出ますが、それに載りたいために無謀な登山をする高齢者もいます。昨年は富士山も含め県内の山で十一名の中高年の方が亡くなっています」>

   気をつけよう暗い夜道と富士登山。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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