サッカー日本代表は来年(2014年)のW杯ブラジル大会出場を決めたオーストラリア戦から一夜明けたきのう5日(2013年6月)、共同記者会見を開いた。出場を決定づけたのは終了間際の本田圭佑のひと蹴りだったが、会見の主役となったのも本田の放ったひと言だった。
「川島選手は…」「佑都と真司は精度アップ」「守備陣のボール出し」
会見は和やかな雰囲気で始まった。キャプテンの長谷部誠がチームを代表して「一夜明けて正直な気持ちはほっとしています。素直にうれしいです」と心境を語り、「まあ、あまり、ぼくが長くしゃべってもおもしろくないので、ほかの選手にしゃべってもらおうと思います。まずはやっとさん(遠藤保仁)、真面目じゃない感じで」と促す。これに答えるように遠藤は笑顔を見せながら「チョーうれしいです。以上です」。さらに「ブラジルの人、聞こえますか」と地球の裏側に向かって叫ぶ選手もいて、喜びムードに包まれていたが、次の本田の発言で空気が一変した。
「あんまり、しゃべりたくないんですけど」
そういって、本田は硬い表情で話し始めた。「シンプルにいえば、『個』だと思います。個だというのは、きのうキーパーの川島選手がしっかりと1対1で守ったところをさらに高める。今野選手がケーヒル選手に競り勝ったところをさらに勝てるように磨く。佑都(長友選手)と真司(香川選手)がサイドで個人で突破していたところの精度をさらに高めて、あれをブラジル相手でもできるようにする。ボランチの2人がどんなプレッシャーが来ても必ず攻撃陣にパスを供給できるように、そして守備ではコンパクトに常に保ちながら、ボール出しを繰り返し90分間やる」
ポジションと個人名を上げながら、これからの課題を指摘した。どの選手も神妙な表情で聞いていた。
ミーティングの監督並み指示
司会の加藤浩次「本田選手のいっていることは、ミーティングで監督がいうことなんですけでねえ。記者会見であそこまで、ばあーっと言えるっていうのは凄い」
レポーターの阿部祐二も「先輩にもダメ出しして、びっくりしました」
キャスターのテリー伊藤「気合いが入っているねえ。日本としては頼もしいですね」
加藤「W杯で出ることが記念で終わるのでは意味がない。勝つことが目標なんだということです」
本田の強い決意がチームを引きしめ全体の力を高め、目標が実現することを多くファンが期待している。