アベノミクスの最後の矢・成長戦略の第3弾がきのう5日(2013年6月)に発表になった。「民間の活力を生かす」などを安倍首相自ら披露したのだが、これを受けた東京証券取引所は今年3番目の下げ幅で答えた。理由は「期待はずれ」とは厳しい。本当の期待はなんだったのか。
株式市場「失望売り」首相演説始まった途端にジリジリ下げ今年3番目の下落
東京・丸の内の「タニタの社員食堂」からエベレスト最高齢登頂の三浦雄一郎までをひいて、安倍は成長戦略をひもといた。「国家戦略特区の創設」「一般医薬品のネット販売解禁」などをあげて、「これが実現できれば、10年後には1人当たり国民総所得(GNI)は 150万円増やせる」「成長戦略を作文のまま終わらせない。いよいよ『行動』のときです」と力みかえった。
しかし、市場の反応は厳しかった。首相のスピーチが始まったときには株価は一時200円ほど上がったものの、終わる頃には下落を始め、ついには今年3番目の下げ幅となる518円89銭を記録して終値は1万3013円87銭だった。
甘利明・経済財政担当相は「いろんな要素がある。サプライズがなかったというのは、マスコミがそのつど情報を報道したからだ」とメディアのせいにした。司会の小倉智昭は「メディアがボロボロ漏らすから…という言い訳もどうなのかなと思いますよ」と苦笑する。
ゲストの永濱利廣・第一生命経済研究所主席エコノミストは「ひと言でいうと期待はずれ」とにべもない。株価が下がったのも「前日に公的年金の運用でもっと株を買うんじゃないかという話があって、それが入るという期待があったが、入ってなかった」とまことに即物的だ。
なあ~んだ、給料が150万円増えるって話じゃないらしい
これで成長戦略は、第1弾が「女性の活躍」、第2弾が「世界で勝つ」、第3弾が「民間の活力」とそろったが、耳に残ったのは最後の「150万円」。
小倉智昭「これ、自分の収入が150万円増えると勘違いしやすいですね」
永濱「違います。われわれの給料も企業の儲けも海外投資の儲けも入っています。それが1人当たりいくらということで、給料が150万円増えるのではありません」
小倉「でも、150万円はかなりのもの。可能性はどうですか」
永濱「いま発表されている中身ではたぶん無理だと思います」
甘利大臣はこういっていた。3%の成長率で年数をかける。さらに人口減少があるのでその分を引くいて、1人当たりで割るとこの数字になる。 これには記者から「3%の根拠を説明してもらえなかった」といわれ、甘利は「自民党の公約にも名目3%以上、実質2%と掲げている。それを具体的に政府としても受け止め、政策に取り組んできた」といっていた。
笠井信輔キャスター「公約しているからというわけですが…」
小倉「これもよくわからない」
永濱は「なんで3%かというと、民主党政権でもあったんですが、他の先進国がだいたい3%成長しているので、環境を整えればいくんじゃないかと出てきた数字」という。今回は「薬のネット販売」「先進医療の保険適用」「特区」「インフラに民間活用」などがある。
小倉「安倍さんは他にもやりたいことがあったはず」
永濱「そうです。それが入ってなかったので、失望となった」
混合診療には医師会、法人税では財務省が反対にまわって打ち出せなかったのだという。要は参院選前ということ。しがらみは切れない。