関東甲信地方も梅雨入りしたが、ジメジメ季節に一番注意するべきなのが食中毒だ。室温、湿気と水分が多いこの時期は細菌の数も激増する「家の中でどこに細菌が多くいるのか。あるご家庭で24か所の細菌の数を調べさせてもらいました。トイレ、風呂場、キッチンだけでなく、洗濯機、寝室の枕も調べたら、合計22か所から細菌が発見されました。中でも多いのがキッチンです」(宮下純一レポーター)
ふきんの使い回しで知らないうちに食べ物に付着
横浜市の河村章子さん宅を衛生微生物研究センターの李憲俊所長が訪れた。家の中の細菌の繁殖具合を調べるためだ。トイレと風呂場とキッチンは入念に調べた。「トイレの便器から22万個、お風呂場の水槽から310万個、キッチンは5か所の調査で、手拭きタオルが2億5000万個、ふきんが14億個、トップはスポンジタオルで15億個でした。これは一般的な数字です。風呂場の細菌が多かったのは前夜のお湯を翌日使いで止っておくためです。お湯状態では細菌は増えませんが30度以下で激増するからです」
同じふきんでシンク台やテーブルの上の拭き掃除をやってはいけないと李所長は警告する。「一つの布巾を使い回しした場合の細菌の移動を実験したデータがあります。生卵にサルモネラ菌10万個を混ぜてこぼしたものをふきんで拭き取り、洗わずに食卓を拭き、その上に子供がプリンをこぼして食べてしまった。このときに子供の口の中に入るサルモネラ菌は96個、食中毒の発症率は17%に上りました。シンク周りとテーブル用は別々にするべきです」
漂白殺菌の前に徹底的に汚れを落とす
消毒、除菌はどうしたらいいのか。日本防菌防微学会・高麗寛紀顧問がアドバイスする。「通常の洗剤では細菌を減らす事はできません。まずふきんやスポンジの汚れを落してください。次に水を張ったボールに塩素系漂白剤をキャップ1杯入れて2分から5分浸けておけば菌は死滅します。梅雨の時期は毎夜、寝る前にやった方がいいですね」
ポイントは漂白剤に浸け置く前によく洗うこと。汚れが残っていると、漂白成分が汚れによって消費され、殺菌効果が得られない場合がある。
(磯G)