2020年の五輪招致を目指す東京など3都市のプレゼンテーションがきのう30日(2013年5月)、ロシア・サンクトペテルブルクで行われた。東京からは猪瀬直樹知事が乗込み、英語で「世界一安全な都市」などとぶったが、いつものことながら手応えはつかめない。
ウリは「世界一安全な都市」おカネなくしても見つかります
国際オリンピック委員会(IOC)の理事会が開かれている場所で、候補都市が一緒にPRをするイベントだった。IOC委員も姿をみせ、イスタンブール、東京、マドリードが開催の目的、利点などを競った。各都市の持ち時間は20分。イスタンブールは東洋と西洋の接点の意味を強調して「私たちの文化を世界と分かち合うチャンスをください」と訴えた。マドリードは「今後の成長」を訴え、現在の深刻な経済危機の印象払拭に懸命だった。これに対して東京は、施設や運営、財政的な強みを強調し、猪瀬知事は「何かをなくしても、お金ですら見つかります」と安全を売り込んだ。
しかし、猪瀬がイスラム世界を揶揄するような発言をして謝ったり、柔道界の不祥事があったり、中韓との領土問題があったりと、IOC委員の票集めにも複雑な要素がありすぎる。それでなくても、 五輪開催地決定は何が決め手になるかわからない。同じひとつの条件でも見方によってプラスにもマイナスにもなりうる。
そうした中で、決め手らしきものは何か。よくいわれるのは「外交力」だ。各国のIOC委員と親しく付き合える人が必要とはいっても、五輪関係者ももとはスポーツ選手だ。そんな人脈はおいそれとはできない。各国も同様の状況だ。ただ、言葉が通じる国同士は関係も近い。日本の最大のハンディはこれだろう。
最終的な判断基準はやっぱり「カネ」
30日のプレゼンテーションを実際に見た原田宗彦・早大教授に電話で聞いた(気の毒にも現地は真夜中)が、「好意的だったと思う」「他都市は情緒的だった」という程度で、赤江珠緒キャスターが「東京への期待は高いですか」とむりやり聞き出すようなありさまだ。
前日の採用競技の候補決定に関して、スポーツジャーナリストの二宮清純氏がオリンピックの金の話をしていた。テレビ放映権料が入るようになってから、各国、競技団体への配分が「生殺与奪」を握るようになったというのだ。「テレビ受けのわるい競技は生き残れない」「野球は五輪競技からはずれたことで、放映権料が2億円から200万円になってしまった」などなど。
司会の羽鳥慎一「スポーツの裾野をひろげるためのものでしょうに」
二宮は開催都市の決定が競技も決めるという。東京やイスタンブールならレスリングとか、そういうことだ。それが五輪の現実。