熱中症だったら暴行傷害も無罪?神戸地裁「高温多湿で被告は意識障害」

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専門家「熱中症だったら動けない」「いや、幻覚症状出ることある」

   熱中症の患者が暴力行為に及ぶことは医学的にありうるのか。専門家に聞くと意見は分かれた。昭和大学医学部救急医学講座の三宅康史教授は「2日間飲み食いせず、野宿して最終的に熱中症に陥ったら動けませんよ。誰かを暴行するということは体力的にかなり難しいと思います」という。一方、北里大学医学部精神科の宮岡等教授は「熱中症のときは身体の中のいろんなバランスが崩れて、それが脳に影響を与え、幻覚症状みたいなものが出たりすることはあり得ますね。(熱中症患者が犯行に及ぶ)可能性は十分考えられる」と話す。

   司会の小倉智昭「熱中症による心神喪失状態で無罪と聞くと、なんでと思いますよね」

   レポーターの岸本哲也が解説する。「今回の裁判の争点は事件時に責任能力を持っていたかどうかです。会社員は白井さんをいきなり殴り倒したうえ顔を蹴ったり踏んだりの暴行を加えていますが、判決は会社員は通常は暴力的性格ではない、当時は意思決定の能力が完全に失われていた、といっています。つまり、ふだんは暴力的な性格ではないので、もし、意思決定能力があれば葛藤やためらいがあるはずだ、というのです」

   小倉は「事件のあと、まさか、そんなことをする人だとは思わなかった、ということはよく聞きますが、それが判決の理由になるのは珍しい」「これはひとつの事件に対する判決なので、一般化することはできないという弁護士の意見もあります。殴っておいて、すみません、熱中症だったので、といったって、そうはいかないということですよ」

   被害を受けた白井さんは判決について「全然納得できないので、控訴するしか方法がない」といっている。

一ツ石

文   一ツ石| 似顔絵 池田マコト
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