東京証券取引所の株価が暴落した。それも13年ぶりの1100円余り。円安、株高という一本調子の「いい話」に、長期金利が上がったと不安を抱いた途端だった。「何が起こったんだかわからない」「朝は300円上がってたんだよね」「おっかねぇ」と投資家も戸惑う。何があったのか。
中国の先行指数悪化と確定売り重なって売りが売り呼ぶ展開に
きのう23日(2013年5月)の取引開始時は、もう間もなく1万6000円かという高値だった。ところが、午前11時すぎに発表された中国の製造業の先行指数が悪かったことから下がり始め、売りが売りを呼ぶ展開となった。甘利経済再生担当相も「中国の指標と利益確定売りのタイミングを探していた投資家のタイミングが集中してしまった」と分析した。
結局、終値は1万4483円98銭。1143円28銭の下げ幅は5年前のリーマンショックの時より大きく、ITバブルが崩壊した2000年4月以来の急落となった。このところ、国債の長期金利が上がって日銀もあわてている雰囲気が伝わっていただけに、さっそくアベノミクスの副作用かと懸念も出てきた。
しかし、安倍首相は「コメントしたら1面に出てしまう。コメントしないことにしている」とにこやかに語ってみせた。麻生財務相も「株は上がったり下がったりするもの。コメントはありません」と慎重だった。ここで口を滑らせたらえらいことになる。
けさは200円高で取引開始。心配な長期金利の上昇
これがニューヨーク市場にどう響いたか。テレビ朝日ニューヨーク支局長の名村晃一が取り引きを終えたばかりの状況を伝えた。ニューヨークもこのところ最高値を更新していたのだが、日本の動きを受けて朝方は120ドルほど急落したが、昼過ぎから上げに転じて、終値は前日比12ドル67セント安の1万5294.50ドルだった。
名村は「企業決算が良かったことと量的緩和はまだ続くと示されたことなどに反応しました。普通ならここから買いが入るところですが、そうまではならなりませんでした」と東京の影響をいう。
エコノミストの飯田泰之「株安はアメリカまでは波及しませんでした。日本市場も中国指標を引き金に売りが売りを呼んだだけですから、買い戻しに動くと予想されますね」
司会の羽鳥慎一「アベノミクスのマイナス面が出たということでしょうか」
飯田「先週は長期金利が上昇して、きのうの朝も高くなったが、株価が下がったので長期金利も下がりました。急に悪くなる状態ではないと思います」
そうこういっているうちに開いた東証は、前日比200円高で始まり、「モーニングバード!」が終わるころには368円高という数字が出ていた。落ち着いたと言い切れないところが悩ましい。どっちにしろ、アベノミクスはふわふわした要素がありすぎる。