「『たすけて!殺される』という大声が聞こえてので外に出てみたら、首を押さえた女性が倒れていたんです。手は血で真っ赤。周囲には大量の血が流れていました」
近所の住人はこう語った。神奈川県伊勢原市で21日朝(2013年5月)、31歳の女性が1つ年上の元夫に切られ重体となった。被害にあった女性は8年前からDV(家庭内暴力)で警察に相談し、裁判所は元夫に2回にわたり接近禁止命令を出していた。それでも防げないのはなぜだったのか。
1か月前から自転車荷台に隠しカメラ付けうろつき
女性はDV被害者を保護するシェルターに身を隠し、昨年に密かに伊勢原市に転居した。しかし、1か月前から女性宅の近くで不審な自転車が目撃されていた。「自転車の荷台に箱がくくりつけられ、箱の後ろに穴が空いていてカメラのレンズのようなものが見えました」と目撃した女性は話す。DV被害を調査しているSP解決センターの山内俊介調査員は「警察は女性の安全を最優先で考えるべきなのですが、それが不十分だったので、元夫がそこに付け込み今回の事件が起きたわけです」と話す。
警察へのDV・ストーカー相談8万2000件。なぜ止められぬ?
司会のみのもんた「この男は2回の裁判所による接近禁止命令にも従わなかったわけだから、隔離はできなかったのでしょうか。女性を保護するシェルターがあるのなら、こういう男を閉じ込めておく施設も作るべきですよ」
コメンテーターの金井辰樹(東京新聞政治部長)「DV被害でもストーカー問題でも、事件が起きると、なぜ今まで声を上げなかったのか、泣き寝入りをしていたのではと見る人がいますが、それは誤った見方ですよ」
おととし警察に寄せられたDV被害や相談は8万2000件以上になる。それでも同じような事件が続いているという背景に、警察は「しょせん男と女の話。どっちもどっち」という思い込みがあるんじゃないか。