米オクラホマ州の巨大竜巻の死者は少なくとも24人、このうち子ども7人が確認され、20人以上の子どもが行方不明という。竜巻の規模も当初のF4から最上級のF5に訂正された。警報が出されたのは竜巻が直撃する14分前で、逃げるのが精一杯。地元カンザスのテレビ局(KSB)ではこんなことがあった。
ちょうど気象番組の放送中で、気象予報士が「こんなことは初めて、避難すべき時だ。竜巻の位置情報はウエブサイトで」といって姿を消してしまった。代わってアナウンサーが「状況を見守ってきましたが、KBS局員はシェルターに避難します。今すぐシェルターへ!ライアン、皆すぐ避難だ!さあ!」と叫んで、あとは気象状況の画像だけが映し出されていた。
メキシコ湾の暖かい風、ロッキー山脈の冷たい風が衝突
米中西部は巨大竜巻の多発地帯という。なぜ多発するのか。気象学に詳しい防衛大地球海洋学科の小林文明教授によると、竜巻は山からの冷たい空気が上空に流れ、そこに下から暖かい空気が流れ込むと上昇気流となって積乱雲が発生する。そのなかで渦ができ、大きな渦の中にさらに何本もの渦ができる多重渦となって巨大化するのだという。
メキシコ湾から暖かく湿った風が入り込む一方、ロッキー山脈から冷たい空気が上空に入り、そのぶつかり合う所がオクラホマ州などの中西部で、ここ数日で25回も発生していた。
襲来14分前に警告―なぜ間に合わなかったのか?
それにしても、竜巻警報が直撃14分前というのは遅すぎではないのか。気象情報会社「ウェザーニューズ」オクラホマイノベーションセンターにいる羽入拓朗氏は、「現在の技術では竜巻発生の場所や時間、方向を限定するのは難しく、14分前は決して遅くありません」という。
ただ、竜巻多発地帯にもかかわらず、シェルターなどの防災対策が整っていなかったことには問題がありそうだ。評論家の宮崎哲弥は「小学校など公的施設にシェルターがなかった責任は追及されてしかるべきだと思う」と話す。