訪朝中の飯島勲内閣官房参与が北朝鮮のナンバー2である金永南・最高人民会議常任委員長と会談したと朝鮮中央テレビが伝えた。金は対外的には国家元首の役割を果たす人で、小泉訪朝では空港で出迎えた。今回の飯島の扱いは閣僚級以上ということになる。ニュース映像は30秒ほどで、詳しい会談内容には触れなかったが、会談場所は万寿台議事堂(国会にあたる)で、ソン・イルホ日朝国交正常化交渉大使以下、日本担当チームの実務責任者がそろって同席した。
映像を見た共同通信・磐村和哉前平壌支局長は、金永南の横にソン・イルホ大使が座ることはこれまでなかったことで、小泉訪朝に深く関ったソン・イルホがこの場にいるということは、この数日、(拉致問題でも)突っ込んだやり取りが行われたとみることができるという。
飯島は初めソン・イルホと会談するとみられていたが、その上の金永日・国際部長と会い、さらに序列を20ほど飛んでナンバー2というわけだ。これをどう読むか。
拉致問題の進展期待あり。安倍訪朝は米朝関係変化待ち
「コリア・レポート」の辺真一編集長は「金永日氏との会談が北朝鮮にとって満足のいくものだったので、金永南氏も出てきたことで、これはある意味でラブコールでしょうが、同時に飯島氏と日本政府へのプレッシャーでもある」という。
金永南との会談は、金永日と話した内容は守れよという念押しだというのだ。朝鮮総連本部の問題や朝鮮高校の無償化問題の落としどころをすり合わせ、在日朝鮮人の扱いを過去の清算の一環とする求めに応ずれば、拉致被害者の安否再調査をするなどの話になったのではと見る。辺編集長は「金永南氏は拉致問題では一貫して『解決済み』と強硬派だったのですが、その彼が出てきたことは期待が持てる」という。
赤江珠緒キャスター「日朝首脳会談の可能性はあるのでしょうか」
辺「いくつかハードルがあります。小泉首相以来7人の首相が『拉致解決』の決意をいいながら実現しなかった。国交正常化は核とミサイルの解決が前提だが、北朝鮮はさらに開発といっている。米朝の進展なしに安倍訪朝は困難ではないでしょうか」
司会の羽鳥慎一「なぜ北朝鮮は変わったんですかね」
辺「ひとつは朝鮮総連本部が立ち退きを迫られていること。もうひとつは国際的な封じ込めを日本を突破口に打開したいという戦術転換だと思いますね」
羽鳥「映像を公開した狙いは何でしょうか」
辺「意図はないと思う。ピョンヤンを訪問する人たちはみな公表していますからね。飯島さんは極秘訪問というがそれは不可能。北京から北の飛行機で行ったら隠しようがない」(笑い)