心筋梗塞でヒロインの天海祐希が降板した「おのれナポレオン」(三谷幸喜 作・演出)がきのう12日(2013年5月)、宮沢りえの代役で千秋楽を迎えた。代役ステージは10日からの計4回だったが、初めから完璧と評判を呼び、この日は「宮沢デー」になった。
軽妙なアドリブ「役者って1日か2日でうまくなるの?」「とりあえずやってみましょう」
開演は午後2時というのに、東京芸術劇場前には午前8時半には当日券を求めて100人以上が並んだ。午前9時には300人になった。最前列の男性は午前5時に来たと話す。「きのうダメだったのでリベンジ」という。
宮沢は天海が降板を発表した8日に台本を受け取って稽古を開始した。頼んだのは主演の野田秀樹(57)だった。野田が演じるナポレオンの愛人アルヴィーヌ役が宮沢で、愛人時代と20年後の酒場の女主人を演じる。セリフは130を超え、しかも長い。これを彼女はノーミスでやってのけたという。
代役をくすぐるアドリブもあって、ナポレオンに寸劇を見せるシーンで、夫との間で「せりふははいってるわよね」「お前にいわれたくないよ」とか、「役者って、稽古すれば1日か2日でうまくなるものなの?」「とりあえずやってみましょう」てな具合。大ウケだったという。
終わって観客は総立ち、拍手は5分間鳴り止まなかった。観客は「完璧ですよ」「2日でこんなふうにできるんだなって」「見に来られて幸せ」と宮沢に酔っている。 「りえちゃんのは全部(4回)見ました。天海さんは男らしくて、りえちゃんは全然違うけど、彼女なりのものになっていた。さすが。伝説の舞台だね」なんて話す人もいた。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト