8日(2013年5月)午後5時40分ごろ、愛知県新庄市にある私立黄柳野高校(辻田一成校長)の男子寮2階の部屋から出火し、寮の2棟が全焼し、焼け跡から1人の遺体が見つかった。遺体は行方不明になっている静岡県出身で2年生の男子生徒(16)とみられている。
この高校は4年前に生徒の喫煙を容認していたとして問題になった学校で、そのとき取材したリポーターの阿部祐二が今回も現場から伝えた。
煙草の不始末と断定できぬ「激しい燃え方」
出火場所は行方不明になっている男子生徒がいた部屋の向かいの部屋で、以前に喫煙を指導されたことのある男子生徒の部屋だった。この部屋から灰皿が見つかったという。ただ、警察や消防当局がタバコの不始末と断定できないでいるのは、「不思議なくらい燃え上がり方が早かった」ことだ。校長も「行方不明の男子生徒は出火直前の午後5時27分に友だちとごく普通にメールのやり取りをしており、火が燃え上がる午後5時44分まで17分間しかありません。その間に手がつけられないぐらいの燃え上がり方をした」と不思議がる。
禁煙指導しても「隠れて一服」
黄柳野高校は1995年に全国からの寄付や支援で開校し、不登校や引きこもりの経験のある子供たちを受け入れてきた。現在、全校生徒150人、うち137人が寮生活をしている。
ところが、開校時から生徒の喫煙が問題視され、07年には女子寮がタバコの不始末からボヤ騒ぎを出している。このため、校長は吸殻が近くの林に引火して山火事になるのを心配して、07年に喫煙室を設けて物議をかもしたこともある。
警察は08年に青少年保護条例違反の疑いで家宅捜索し、校長は書類送検されたが、保護者の嘆願で起訴猶予処分となった。以来、学校では喫煙指導を受けた生徒に定期的に喫煙の有無を検査するなど、禁煙指導に力をいれてきたが、今年4月に入ってきた女子新入生の一人が喫煙指導を受けるなど、隠れて喫煙する生徒は絶えなかったようだ。
コメンテーターの菊池幸夫(弁護士)「今年2月にもボヤ騒ぎがあったと聞き及んでいます。そうした例からも、スプリンクラーを設置して置けばよかった」
激しい燃え方を見ると、煙草だけでなく、他のものもやっていたとは考えられないか。