押し紙は新聞界の常識...いまひとつわからない「週刊新潮」最高裁敗訴の根拠
朝日新聞(5月9日付)がこう報じている。
<「週刊新潮」の記事で名誉を傷つけられたとして、読売新聞の東京、大阪、西部の3本社が、新潮社と筆者のフリージャーナリスト・黒藪哲哉氏に損害賠償などを求めた訴訟で、計385万円の支払いを新潮社と黒藪氏側に命じた一、二審判決が確定した。最高裁第三小法廷(大橋正春裁判長)が7日付で、同社側の上告を退ける決定をした。
問題の記事は、週刊新潮の2009年6月11日号に掲載された。目次に「『部数水増し』衝撃の調査データ 読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに捨てられていた」と記載。滋賀県での購読調査などから、読売新聞には販売店に新聞を強制的に購入させる「押し紙」が30~40%あると推測し、「発行部数をかさ上げし、販売収入を不正に得ている」と報じた>
この記事は、新聞社が部数を水増しするために販売店に押し付ける「押し紙」自体がなかったと読める書き方だが、押し紙は新聞界の『常識』である。朝日新聞も相当な押し紙があるといわれているから、そこのところはボカした書き方になっているのだろう。
名誉毀損は書かれていることが事実であっても成立する。最高裁は週刊新潮の書き方が名誉毀損に当たると判断したのか、押し紙はないと判断したのか。こんな中途半端な伝え方だから「週刊誌はウソを書く」という一方的な流言飛語が流布されてしまうのである。週刊新潮は次号でどういう判決内容だったのかをきちんと伝えてほしい。