韓国の朴槿恵大統領はきのう7日(2013年5月)、ホワイトハウスで就任以来初となるオバマ米大統領との首脳会談に臨み、北朝鮮に対する両国の連携の強さを確認した。朴は会見で「北が認識を変え、変化するよう努力する。影響が大きい中国とも一緒に行動できるよう努力する」と語った。オバマは北朝鮮の一連の挑発を「失敗」と断じ、「アメリカは韓国、日本と緊密に連携し同盟国を防衛できる力を持つ。韓国防衛の意志が揺らぐことはない」と述べた。
中距離ミサイルムスダン2基とりあえず温存
米韓首脳は北の挑発行為を容認しないと強い姿勢でも一致したが、北朝鮮は東海岸のウォンサンに配備していた中距離ミサイルムスダン2基を撤去していた。カードを温存したとの見方が強いが、米韓がおとといから黄海で行っている原子力潜水艦が参加する合同軍事演習に反発し、「即時反撃」態勢を広言している。
ただ、アメリカはオバマとヘーゲル国防長官が北の核ミサイル配備能力について、「あるとは思えない」と疑問を口にしている。何らかの確証を得たのだろうか。韓国国防省は「警戒を解除できる状況ではない」としながらも、「ミサイル追跡の詳細については明らかにできない」と妙ないい方だ。
ワシントンの新堀仁子記者によると、国防総省は北朝鮮の軍事的挑発が一時休止状態だと認めた。中国の働きかけが効いているとの分析だという。また、オバマは「危機を作り出して譲歩を引き出す北朝鮮のやり方は、もはや通用しない」と強い姿勢を打ち出しているという。
これを裏書きするように、けさの朝日新聞は中国が北朝鮮の国営朝鮮貿易銀行に取引停止と口座の閉鎖を通告したと報じた。朝鮮貿易銀行はミサイル開発に関与しているとして、米の制裁対象になっていた。小此木政夫・九州大特任教授は「アメリカ、韓国の動きに中国も参加しているというけん制でしょう。米韓首脳会談に合わせて、『わがままなことをいうと中国にも考えがあるぞ』という北朝鮮へのメッセージでしょう」という。
対北戦略で米韓に差…オバマ「米韓日で」、朴「韓米中で」
司会の羽鳥慎一「日本の立場はどうなんでしょう。オバマさんからは日本の名前が出たが、朴さんからは日本が出なかった」
小此木「アメリカは日米韓の連携を強めたい。が、韓国は米韓中でやりたい」
羽鳥「日本を外して?」
小此木「歴史問題ですから。朴さんはしたたかですよ。中国も嬉しい。日本は世界標準に合わない議論を国内でやっているんですね。ガラパゴス化が懸念されます」
羽鳥「日本はどうしたらいいんでしょうか」
小此木「小泉時代と比べるとわかりますが、小泉さんは靖国参拝の一方で、歴史認識では村山談話より踏み込むなどはっきりしてた。歴史問題は逃げられないと腹を決める必要があります」
萩谷順(法政大学教授)は「逃げられない。逃げちゃいけないが、あわててバスに乗ることもない。いまはコミットしない方がいい」という。このあたりはむずかしい。とくに安倍政権の政治的スタンスが相手にもはっきりわかっているだけに、むしろ選択肢は少ない。