「裁判員制度がスタートして4年。約3万人の人が裁判に関わったが、今回のような問題が起きたのは初めてです」と元最高裁判事で弁護士の濱田邦夫弁護士は話した。裁判員を務めた60代女性が裁判の影響で急性ストレス障害になったと、国に慰謝料など200万円を求める国家賠償請求を仙台地裁に起こした。
「ケチャップかかったハンバーグで嘔吐」
この女性が担当したのは、強盗殺人罪などに問われた男に死刑判決を言い渡した今年3月(2013年)の福島地裁郡山支部の裁判員裁判だ。岸本哲也リポーターは「裁判の審理の中で、血の海と化した現場写真や遺体の刺し傷などのカラースライドを見せられたそうです」と伝える。
裁判を取材した福島テレビの平岩岳記者は「たしかにあの写真は凄惨なものでした。一般の人には相当なショックがあったと思います」という。女性は「とくダネ!」の取材に「スライドを見せられたときには全身に震えが来ました。その日の昼食に出されたお弁当がケチャップの掛けられたハンバーグで、思わず嘔吐してしまいました」と話す。元裁判員の田口真義氏は「裁判の中で見聞したことは誰にも言えない。家族にもダメです。相当なストレスがかかります」と語っている。
制度スタート直後は「白黒写真」にする配慮
濱口弁護士「日本の裁判員制度には秘守義務が課せられています。裁判の中で知り得たことは外部に漏らすことはできません。アメリカでは裁判における証人や証言内容をオープンにすることが許されていますが、日本ではそれも禁じられています」
メインキャスターの小倉智昭「裁判員にそれほどの悲惨な写真を見せる必要があるのでしょうか」
濱口「裁判員制度が始まったころは、裁判員に配慮をしていました。殺人事件の裁判では写真を見せるときもカラーではなく白黒写真にするなどです。でも、制度が始まって4年。いつの間にかそういう配慮も薄れました」
岸本は女性は今もフラッシュバックが起こり、食事も喉を通らず夜も熟睡できないそうです」
とはいえ、被害者の無念を晴らし、犯人を罰するという極めて重い責任を果たす以上、犯行のありのままを直視するというのは裁判員としての義務だろう。たしか、メンタルなケアを受けられる制度があったはずだが…。