顔ぶれがらり変わった「長者番付」1位ミクシィ、2位テンプスタッフ、3位比較.com
私が編集者現役のときは、この時期になると「全国長者番付」をやらされたものである。新聞は5月1日に報道するが、週刊誌は名簿をだいぶ前に入手して取材しなければならない。そのためには、どれだけ親しい新聞記者が手持ちにいるかが勝負になる。先輩にハッパをかけられながらブンヤのところを走り回ったものである。懐かしい思い出だ。
週刊現代の「全国長者番付トップ100人の実名掲載」の後半に1951年からの長者番付15位までが載っている。1951年から1970年までのトップは「松下電器」の松下幸之助である。2位にも「三洋電機」の井植歳男、「大正製薬」の上原正吉がいる。
1981年から1990年のバブル期になると、1位は上原だが、2位に不動産を売却して利益を出した秋山光男、株の仕手戦で勇名を馳せた是川銀蔵、不動産の貸し付け業者の岩井久雄、10位にも不動産貸付業者の玉野喜一郎が顔を出している。2005年から2012年には上から「任天堂」の山内溥、「ユニクロ」の柳井正、「ソフトバンク」の孫正義などがいるが、いまは週刊現代調べによるとガラッと変わっているのである。
1位には笠原健治(37歳)。「ミクシィ」社長で資産は1347億3200万円。2位は人材派遣の「テンプスタッフ」会長兼社長の篠原欣子(78歳)で751億8800万円。3位は「比較.com」社長の渡邉哲男(41歳)で715億8800万円。4位は「グリー」社長の田中良和で658億3800万円。5位は「アルペン」社長の水野泰三(64歳)で625億5400万円となっている。
「アルペン」は愛知県のスポーツ用品販売会社だが、それ以外は派遣とITである。時代がそのまま収入にも表れているということか。「アルペン」の水野氏はもともとプロスキーヤー志望だったが夢をあきらめ、父親から援助を受けた300万円を元手に、名古屋市内に25坪のスポーツショップを開いたのが始まりだったそうである。金持ちになる秘訣をこう語る。
<「開業以来、一度も赤字なしでここまでやってきました。これから少子高齢化でパイは減っていきますが、崖っぷちに立つとパワーが出るものですよ。諦めないこと。これが大切です」>
諦めなければこれだけの資産がつくれるものなのか。貧乏人にはわからないが、その裏には他人にいえない苦労もあったのだろう。ひと旗揚げたい人には必読かも知れない。