これはまたどうしたことか。猪瀬直樹・東京都知事が2020年の夏季五輪招致で「ニューヨーク・タイムズ」紙に語った発言が物議をかもしている。「イスラム諸国はケンカばかりしている」と、いわずもがなの一言だった。イスラム諸国の票を失う可能性がある。
IOC行動規範にも抵触「招致プロセスに留意するよう求める」
猪瀬は「競技者にとっていちばんいい場所はどこか。インフラが整っておらず、洗練された設備もない2つの国と比べてください」とマドリードとイスタンブールルを批判し、「イスラム諸国が共有しているのはアラー(神)だけで、お互いケンカばかりしていて、階級がある」と話したと報じられた。この発言は国際オリンピック委員会(IOC)の行動規範にも触れる可能性がある。規範は開催都市の公平な選考のために「他都市の批判や比較を行ってはならない」とあり、猪瀬は東京の優位を強調するあまり踏み込み過ぎた感は否めない。
立候補している3都市のうちで、イスタンブールが「イスラム圏で最初」ということで優位が伝えられ、猪瀬の発言はこれに予防線を張ったものらしいが、いかにもナマでまずい。
IOCは「記事の文脈だけでは知事の意図がわからないが、招致プロセスに関する規定に留意するよう求める」としている。トルコからはさっそく「不公平で悲しい」という反応が出た。
猪瀬「真意が伝わっていない」。ニューヨークタイムズ「間違いない。録音ある」
当の猪瀬は「私の真意が正しく伝わっていない。文脈と異なる記事が出たのは残念」といっているが、具体的ではない。これにニューヨークタイムズのフポーツ担当編集長は「内容には絶対の自信を持っている。インタビューした2人の記者は日本語が堪能で、通訳の言葉(英語)をそのまま録った。録音もある」と反論しているから、ますます分が悪い。
司会の羽鳥慎一「招致に影響しなければいいですがね」
宮田佳代子(フリーキャスター)「猪瀬さんは『文脈が違う』なんていわないで、何が違うのかをストレートにいわないと…」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「分が悪い。こういうときは『言ってない』とぴしっと言っておいて、宮田さんがいうように、どう言ったのかを明快にしないといけない。 微妙なニュアンスなんか伝わりません」
舞の海秀平(スポーツキャスター)「中途半端に謝罪したりするといけないですよね」
宮田「言いたいことはこうでしたと、1拍おかずに言うことが大事です」
しかし、いい直しようがないだろう。正しいことをいっちゃったんだから。逆に回復するのも不可能。敵に塩を送ってしまった。