ゴールデンウイークの特別企画「学びのずかん」コーナーで、けさ30日(2013年4月)は「3年間でネイティブ並みの英語力が身につく」という幼稚園を紹介した。最初に映し出されたのは海外初経験の小学4年生がホームスティでアメリカを訪れたときの様子だ。受け入れ先の子どもたちとテレビゲームを楽しみながら、「ぼくらはなんでもできるぞ」「いくぞ」「やっつけろ」と流暢な英語を話す。声だけ聞くとアメリカの子どもだ。相手のママも「彼らの英語のレベルには本当に驚いたわ」とびっくりする。この英語力、どうやって身につけたのか。
保育料4万9700円でも希望者殺到
秘密は彼らが通っていた幼稚園にあった。宮城県仙台市で47年の歴史をもつ明泉幼稚園だ。プレミアスクールというコースがあり、完全英語保育を行っている。教室をのぞくと、先生は全員外国人で、園児たちはヘッドホーンを耳に英語の絵本を読んでいる。教室の中に日本語は見当たらない。予定表や案内の表示もすべて英語だ。普通のクラスの保育料は月額3万1700円に比べてプレミアスクールは4万9700円(入園金などは除く)と高いが、毎年予約が殺到する人気という。
4月に入園したばかりの4歳児の教室では、子どもたちからまだ日本語が飛び出すが、先生は英語しか話さない。子どもたちにたくさんの英語を浴びせることが大切なのだ。これが1年たつと、先生の英語の指示にも従えるし、英語の質問にも英語で返事ができる。感心するのは子どもたちのきれいな発音だ。これは子どもだからこその能力で、ネイティブの微妙な発音を捉える力は9歳ごろまでで、これを過ぎる頃から徐々に失われていくという。「9歳の壁」というのだそうだ。
「ニューズウイーク日本版」元編集長「そんなに英語いらない。スマホに同時通訳機能」
子どもの英語が上達すると心配も出てくる。日本語との両立だ。ある園児の家庭を訪ねると、いまのところ、その点は杞憂だった。家ではすべて日本語で通している。小学校に上がれば英語を忘れるかもしれないという心配もあるが、卒園生を対象に放課後を利用した英語の授業も行っている。
司会の小倉智昭が「いやあ、うらやましいですね」とため息をつく。コメンテーターの宋美玄(産婦人科医)は「私も英語の授業を英語でする中高に通っていたのですが、12歳からでは舌も耳もダメですね。子どもには英語漬けの環境を思うのですが」と話す。
キャスターの笠井信輔「小学校に行くとどんどん忘れていくので、英語教育への投資を続けないと子どもの英語の能力は落ちていくと思いますね」
雑誌「ニューズウイーク日本版」の編集長も務めた国際ジャーナリストの竹田圭吾はクールな見方を披露した。「実際にはほとんどの日本人には英語なんかいらないですよ。この先だって、スマホで同時通訳ができるようにすぐなると思う。ペラペラしゃべるといっても、内容のないことしか話さない人もいっぱいいる。ただ、外国語でコミュニケーションするってことが感覚でわかるということはメリットだ」と語る。
英語のできる人だからこそそう言えるのかも知れない。英語を社内公用語にする企業も出る時代、英語に関する悩みは増えそうだ。