まだまだあるぞ!若者が生きがいもって働ける幸せな会社
3週間前の『週刊現代』で「『ユニクロ』『ワタミ』はなぜ新入社員が次々やめるのか」という特集があったが、けさ(4月25日付)の朝日新聞で作家の高橋源一郎がこんなことを書いている。
「少し前、経済誌に、誰もが知っている超一流企業である『ユニクロ』を取材した記事が載った〈『東洋経済』3月9日号〉。ひとことでいうなら、そこに描かれているのは、『3年内離職率』が時に5割超になり、膨大なサービス残業も要求されるという、限りなく『ブラック企業』に近い実態だ(それに対して柳井正会長兼社長は反論を〈『日経ビジネス・オンライン』4月15日〉などのメディアで行っているが)。
その記事は、最後に、社長が定めた経営理念23カ条を『新人研修までに句読点の位置まで正確に覚えていないと、研修班ごとに連帯責任が問われる』ことに触れ、『新兵に軍人勅諭の丸暗記を強いた旧陸軍さながら』だと記し、『建前と現実の乖離(かいり)を「やる気」で埋めるという発想』はかつての日本陸軍のそれではないかと指摘している。わたしの感想は少し違う。その経営理念、現場で求められるもの、そこにある社員像こそ、『何者』(朝井リョウの直木賞受賞作=筆者注)の典型的な姿ではないか、と思った。
今日も、リクルートスーツに身を包んだ若者たちが、会社(社会)の求める『何者』に憑依(ひょうい)して、会社訪問に出かけている。そして、おそらくは、彼らの多くが、その胸の中で『なんだかおかしい』と呟(つぶや)くのである。 彼らがぶつかっているのは、単なる経済の問題ではない。社会の問題であり、また政治の問題でもあるだろう」
いまやほとんどの企業がブラック化していっている。そうでない企業を見つけるのは大変だろうと思うが、週刊現代がこんな稀な企業があると「日本の『幸せな会社』ベスト50」という特集をやっている。これは読まなくては。生きがいをもって働ける会社とはどんな会社なのか。あまり知られていない会社をいくつか挙げてみよう。
「アイリスオーヤマ 毎年1000件ほどの新商品を生み出し、主力事業が次々と変わる変幻自在企業。『ペット用品からインテリア、 LED照明まで、様々な部署を経験できるので、能力がつくスピードが速い』(取引先)毎週月曜日の会議では、社員が社長ら幹部に直接プレゼンできるなど『組織も超フラットで平等』」
「オオクシ 千葉県を中心とする理美容チェーン。規模拡大を『身の丈で進めているのが特徴』(社員)で、『事業効率化のために社員個人の成績から社長の報酬まで徹底した情報公開を進める取り組みも。一方で客の奪い合いにつながる成果主義は取らない。ぎすぎすした人間関係がないので、安心して働けます』」
「サイバーダイン 筑波大学のベンチャー。装着すると、成人を軽々抱えあげられるほどの力を発揮できるロボットスーツ(HAL)を開発、販売。医療用など利用範囲の広がりが期待されるが、米軍から製品購入のオファーが来ても『あくまで平和利用目的』と突っぱねたとの逸話もある。全世界が注目する最先端企業」
「タイセイ 包装資材の通信販売。『女性中心の職場で、働く主婦のために昼休みを長く取っている。その間に自宅で掃除、洗濯、夕食の準備などができるようにした。給料は決して高くはないが、親孝行休暇やPTA休暇もあり、これほど充実した職場環境はない』(経済ジャーナリスト)。創業以来14期連続で増収」
「星野リゾート 『星のや』ブランドを中心に全国でリゾート、旅館を運営。東京・大手町で日本旅館プロジェクトを進めるなど先進的な経営スタイル。『総支配人になるには立候補制。専門職の社内公募制もあるから、手を挙げれば挑戦できる』(社員)『言いたいことは言う』という社風で、活気のある職場」
こんな会社で働いてみたいものである。