ロケットスタート好評で気が大きくなったか!?背広の下の鎧チラリ見せ始めた安倍首相

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「幸い衆議院の多数がありましたから、やらなければいけないことを今のうちにどんどん進めようという気持ちが強かった。教育基本法の改正、憲法改正のための国民投票、公務員制度改革――。しかし、私がやりたいことと、国民がまずやってくれということが、必ずしも一致していなかった。そのことがしっかり見えていなかった。私が一番反省しているのは、その点です。(中略)
   外交政策においても、過去の路線を意識しすぎると、いちいち過去を弁護しなければならなくなりますが、その必要はない。過去の政策は間違ってましたとは言いにくいことですが、もう状況も変わっているんだから、『私たちは新しい政策をとってきます』と明確に言おう、と。まずそれが前提です」

   これは『週刊文春』に掲載されている「安倍晋三VS.阿川佐和子」で、安倍首相が語った言葉である。当たり障りのない話で終始しているが、安倍のいいたいのはこの部分であろう。前回のときは急ぎすぎたから、今回は「時間感覚」をもって焦らずにやっていく。教育改革、憲法改正など、やりたいことはあるが、まずは国民が一番望んでいる景気対策を最優先してやっているということである。デフレ脱却までにはまだまだ紆余曲折あると私は思うが、第1ラウンドはロケットスタートといっていいだろう。

   だが、この人の本質はウルトラ保守=タカ派である。閣僚の靖国神社参拝に韓国と中国が強く反発しているといわれ、「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」と答えた。背広の下の鎧をチラリと見せたのである。

   さっそく、韓国の『中央日報』が「日本の安倍政権が韓国と中国に対し、事実上の外交全面戦争を宣言した」と噛みついた。

「安倍首相はこの日の参院予算委員会で『靖国について抗議を始めたのは盧武鉉(ノ・ムヒョン)時代で、その時に顕著になった。金大中(キム・デジュン)政権でも少しあったが、それ以前はほとんどなかった。なぜ突然態度が変わったのか調べる必要がある』と述べた」

   これは事実に反すると書いている。

「日本首相の靖国参拝は、初めて公式参拝を宣言した1985年8月15日の中曽根康弘首相から01年の小泉純一郎首相までの16年間、96年の橋本龍太郎首相の1回を除いて一度もなかった。それも自分の誕生日(7月29日)に私的に参拝した。副総理と外相がこの期間に参拝した例も2回にすぎない。
   韓国政府も85年の中曽根首相の靖国参拝を、当時の李源京(イ・ウォンギョン)外交部長官が正式に問題に取り上げた。96年の橋本首相の参拝当時は、外務部が公式的に遺憾論評まで出した」

   あのウルトラ右翼の中曽根でさえ、韓国、中国関係に配慮して靖国参拝を控えていたのである。いまは戦後最悪と思われる日中、日韓関係なのに、麻生太郎副総理以下が大挙して靖国に参拝したのは、彼らの思想信条ではなく、政治家としての資質、外交面への配慮の欠如を感じないわけにはいかない。そのうえ、ヤクザ相手に啖呵を切るようないい方は、いつまでも大人になれない、この人の器の小ささを見せてしまったと思う。ここが第2次安倍政権最大のアキレス腱になるであろう。

佐野眞一「盗用」問題―けしからんから抹殺してしまえに私は与しない

   出版業界的には、ノンフィクション・ライター佐野眞一氏の「盗用」問題が大きな波紋を呼んでいる。『ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム』(宝島社)では、佐野氏がこれまで書いてきた著作の中の盗用部分を原文と付き合わせ、140件もあると書いている。

   その中で、これだけ問題のある佐野に、元木は今度始めるe-ノンフィクションという電子書籍で書かせるのはおかしいと、坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式に批判されている。これについては稿を改めて書いてみたいと思っているが、佐野は無断盗用するけしからんライターだから抹殺してしまえという、ヒステリックなやり方に私は与しないとだけいっておきたい。

   佐野がライターとして評価されたのは、人物や社会現象に対する彼の見方、捉え方が、他の凡庸なノンフィクション・ライターよりも優れていたからである。東電OL殺人事件で、犯人だとされ有罪になったネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんを冤罪だと主張し続けたのは佐野だったことを忘れてはいけない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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