冷温停止で事故収束しているはずの福島第一原発だが、事故から2年経っても異常なトラブルが次々と発生している。最近もネズミに電気を止められて核燃料プール冷却がストップしたかと思えば、地下貯水槽に貯めていた汚染水が漏れ出した。汚染水漏れ出しは「冷温停止状態後最大の危機」(「クローズアップ現代」)という深刻な事態だという。その深刻さに輪を掛けているのは、放射性物質汚染水の処理が福島原発で最大の課題とされるからだ。
際限なく増え続ける放射性冷却水
福島原発ではメルトスルー状態の核燃料に大量の水をかけて冷やし続けなければいけない。すると放射性物質に汚染された水が大量に発生する。東京電力は原発敷地内にタンクをボコボコと大量に建てて、汚染物質を「貯蔵」しているが、それにも限界がある。そこで、地下に大量の汚染水を貯めようとしたら、今度はその貯水槽が水漏れしたというわけだ。それも3つの貯水槽がわずか2か月で次々と漏れた。設計・施工になんらかの問題があったことが原因と考えざるをえない。
東電は絶対に水漏れしない構造の貯水槽をつくったつもりだったが、さらに「万が一」に備えた対策を取っていた(つもりだった)。それは水漏れをいち早く検知し、汚染水を地下貯水槽からタンクに移すというものだった。ところが、そもそもタンクでは足りないから貯水槽をつくったわけで、合計5万8000トンの汚染水を貯めこむ地下貯水槽からタンクに汚染水を移そうにも、タンクの方の容量が足りない。水漏れ貯水槽からのタンク移送は6月まで終わらないという。その間、汚染水漏えいが続くことになるのだろうか。