アベノミクスの負の部分が大きくなってきているのか。円安による燃料油の高騰で漁業者がピンチになって、イカ釣り漁船が26、27両日(2013年4月)に4000 隻が一斉休漁をする。食卓への影響は避けられそうにない。
それでなくても、輸入食品はすでに値上げが始まっている。スーパーでも「輸入水産物が値上がりしてます」という。そりゃあそうだろう。つい4か月前まで1ドル70円台だったものがいま100円寸前だ。1 円動いても大変だというのが20円も動いた。これで息を吹き返したのは輸出産業だが、それが給料になって回ってくる前に、物価高は生活を直撃する。
千葉・船橋漁港の漁船「20円の円安で400万円負担増」
きのう23日に会見した全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)は、「円安で生じた影の部分」という言葉を使った。燃料が高騰した分を国の方で補填してもらいたい というのだ。イカ釣り漁船に続いて、他の漁船も全国一斉休漁も視野に入れているという。08年7月にもあった。燃料価格の高騰で全国20万隻が一斉休漁した。
リポーターの黒宮千香子がきのう夜、千葉・船橋港の巻き網漁船「太平丸」を訪ねた。いまはスズキ漁だというが、大野一敏さんは漁港を指しながら、「網をつくろってるでしょ、あれも石油製品。浮きも石油。船だってプラスチック」という。
黒宮「石油がなかったら、漁業はできないということですよね」
大野さん「そういうこと」
目下の最大の問題は燃料代だ。「燃料がなければ船は動かない。夜間操業の作業では照明も点けないといけない」「うちあたりで年間20万~25万リットル使 う。1円上がれば20万円、10円なら200万円、20円なら400万円」「こんなことは予測できるんだからシステムを変えなきゃいけない。政府も行政も」と大野さんのいうことはスジが通っている。
魚介類の小売りも値上がり。いよいよ進む魚離れ
休漁になると仕入れも上がるので、小売りは値上げか儲けを減らすかを迫られる。そこで代替品(輸入・冷凍)になるか、高くなって魚離れになるか。宇治原史規(タレント)「魚離れになったら、漁師のみなさんにしたら元も子もないですよ。システムを変えることを、いわれる株式会社とか、考えたほうがいい」という。
司会の羽鳥慎一「円安にはプラスマイナスあるが、これはマイナスの面」
萩谷順(法政大学教授)「コスト割れになったら産業として成り立たないですよね。原油環境に合わせた形に変わっていかないといけない。震災のあと、宮城県から漁業権を考え直していこうという考えが出た。反対はあるが、これまでの漁業が問われているんです」
全漁連の「燃料高騰の補填」の訴えには、「え、そこまで?」という反応が多いだろうが、この何年か、電気製品、自動車だって政府が手助けをしていた。それら企業はいま円安でウハウハしているんだから、皮肉なもんだ。