中国・四川省の大地震の死者は200人に迫り、負傷者は1万1000人を超えた。中国メディアは政府による救助活動を盛んにアピールするが、生存率が急激に低下する発生から72時間が経過しようとするなか、政府の対応に批判や不満も出ている。
テレビが伝えるのは李克強首相の視察や「奇跡の救出劇」
中国テレビが伝えるのは、奇跡の赤ちゃん救出劇や命懸けの復旧作業、それに被災地を視察し負傷者を励ます李克強首相の姿だ。しかし、つぶやきサイトに寄せられるのは、「カメラを被災者へ向けてください」「腐敗している政府はいつもこうだ」「多くの人が亡くなっても何でも政治と絡ませる」といったものが多い。
被害が激しい山間部では支援が行き届かず、苦しい避難生活を強いられている。子どもたちは水や食料を求めるにわか仕立てのプラカードを持って路上に立つ。こうしたなか、中国政府は救助、救援物資は足りているとして外国からの支援を辞退している。
メインキャスターの小倉智昭「中国政府は医療は万全で物資も十分足りている、救助も迅速に行われているといっていますが、被災者は泣いていますね」
アナウンサーの渡辺和洋が現状を解説する。
「届いてくるのは悲鳴のような現場の声です。間もなく72時間を迎えようとしています。72時間の壁ともいわれますが、24時間以内に救出されますと生存率は90%、48時間で50%、72時間を過ぎますと一気にひと桁台へと低下していきます。日本を含め海外支援を断ったことに対して、中国版ツイッターからは、(1)中日関係を改善するチャンスを与えたくないのか(2)四川には中国の核施設や軍事基地があるからではないか、といった声も上がってきています」
海外支援断り続ける中国政府「手抜き工事、防災不備見られたくない」
中国政府が海外支援を受け入れない理由について、中国情勢に詳しい東京財団研究員の小原凡司氏は「2008年の地震のときに指摘された、手抜き工事などの人的要因で被害が拡大した可能性を海外の目に触れさせたくないからではないか」とみている。
小倉智昭「2008年のときも最初はいらないといっていた。日本には助けてもらいたくないのでしょうか」
コメンテーターの竹田圭吾(国際ジャーリスト)は「半分は面子の問題があるかもしれないが、残りの半分は、被災地が山奥なので土地勘のない外国人が入ってきても負担が大きいという面もある」と見る。宋美玄(産婦人科医)は「状況がしっかり把握できていないのに、支援体制は十分であると判断するのは難しいのではないか。面子が見え隠れしている」という。
渡辺アナ「きのう(2013年4月22日)、中国の主要メディアはロシアの救助隊が到着したと報じましたが、直後に外交当局は否定しました」
発足したばかりの習近平体制の威信がかかっているだけに、救助活動、メディア対策を含め対応には相当に神経を尖らせているようだ。