福島原発の事故による風評被害の損害賠償がこじれ、茨城県高萩市がきのう17日(2013年4月)、東京電力への4月分の電気料金約500万円の支払いを拒否すると発表した。
高萩市は太平洋の荒波が洗う広い砂浜の高萩海水浴が売りだ。例年1万2000人が訪れていたが、茨城の北端に近いため、福島原発事故への風評から海水浴客が激減した。事故のあったおととし(2011年)の夏はわずか946人だった。
観光客ガタ減り…市営駐車場収入減や呼び戻しCM制作費
紅葉の名所・花貫渓谷も7万5000人だった見物客が4万4300人に減り、市が運営している駐車場収入も減った。この減収分を東電に賠償請求して、支払いを受けていた。高萩市は昨年、海水浴と紅葉観光のテレビCMを制作したが、この制作費500万円も東電に賠償請求していた。「客が減らなければCMの必要もなかった。東電が支払うべきだ」という理由だったが、東電の回答はノーだった。
「駐車場(利用料)の減収分は補償するが、それ以外はむずかしいという答えだった」(市観光協会)という。東電は「一般的に原発事故との因果関係が認められれば補償するが、個別の賠償の内容にはコメントしない」としている。草間吉夫・高萩市長は「東電には風評被害で苦しんでいる人がいることを認識してもらいたい。問題提起を含めて措置をとった」という。
司会の羽鳥慎一「問題提起というのが大きいと思いますね。高萩市はお金の問題じゃなくて、姿勢を正す意味合いが大きいような気がします」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「そうだと思いますよ。いろんな被害を受けていても個人だと弱い。それを代表して市が問題提起をしたんじゃないですか。東電は、事故がなかったらこんなことはなかったんだというのを全部含めて金額いくらと、そういう考え方になってほしい」
「賠償金」安ければ払い高いと拒否?
ナビゲーターの小松靖がひとつの例を出した。高萩市内のゴルフ場のケースだ。ここも客が5、6割減って賠償請求をした。これに対して、東電は減収分の30~40%を支払い、雑誌への安全PRの広告代も全額払われた。
また、安全確認のために購入した線量計は「全額支払わ れた」。
小松「雑誌はテレビと比べると安い金額だったと思われます」
羽鳥「そうすると、基準があってじゃなくて、安いから払うというとらえ方なのかとも思えてきますよね」
松尾貴史(タレント)「マスコミへの対応を見ていても、誠意の部分で何か欠けているんじゃないかと感じますよ」
高木美保(タレント)「賠償を認めるところと認めないところの線引きがあいまいだから不信感がつのる。東電にはこういう小さなCMを打つ人たちの気持ちがわからないのではないだろうか」
東電は動くか。動かないか。多分、さらなる跳ね返りを恐れるのだろう。結局は安ければ払う?