ボストンマラソンのゴール付近で起きた爆発テロ事件をめぐり情報が錯綜している。一時は「犯人逮捕」の報道も流れたが、すぐさま否定された。記者会見も延期されるなど、捜査当局も相当混乱しているようだ。ニューヨークで取材している西橋麻衣子ディレクターがその混乱ぶりを伝えた。
犯人逮捕の噂で裁判所に500人
「いったい何がどうなっているのですか」
キャスターの小倉智昭が西橋に聞く。
西橋「もう何が原因で混乱しているのかもわからないほど情報がなくて困っています。容疑者が特定されたのかどうかもわからない状況です。犯人逮捕の一報が出た直後に一目みようという市民やメディアが裁判所に約500人集まりましたが、地下に不審な男がいるという情報があり、一時は緊急避難勧告も出ましたが、それについても詳しいことはわかっていません」
小倉「FBIもなんでこんなに浮足立っているのか。そもそも防犯カメラに写っていたとされる容疑者は特定されているんですか」
西橋「きのう(2013年4月17日)は捜査が始まったばかりで、何年かかるかわからないと言っていたのに、一刻も早くという思いがあるのか、情報が錯綜したまま出ています。防犯カメラに写っていた容疑者とされる人物についても、その映像を持っているメディアはどこもなくて、男の顔を確認したというメディアもありません」
アナウンサーの笠井信輔「何者かの悪意によって、不確かな情報が流布されているという話はありませんか」
西橋「大手メディアが出した情報に他のメディアが躍らされているといった状況です。その大手メディアに誰かが不審な情報を流しているという話はありませんが、可能性は否定できませんね」
防犯カメラ映像も本当にあるのかないのか…
不確かな情報がメディア間でキャッチボールされ、まことしやかに真実味を増していくという現象はしばしば起きることだが、そんな状況なのか。アナウンサーの田中大貴がこれまでの情報をまとめ、2回目の爆発の状況から手掛かりを探ろうと、爆発の前後の写真を示しながら説明する。
「観客席とコースを分ける柵のコース側、ポストボックスの横の縁石の上に縦長のリュックが置いてあります。リュックの後ろには人垣ができています。それが数秒後に爆発、8歳の男の子が亡くなり大勢の人がけがをしました。問題はこのリュックに誰も気付かなかったのか、目撃者はいなかったのか、ということです」
「とくダネ!」はある実験をした。一般の人10人を観客にして、柵の内側から目の前のランナーを見てもらう。番組スタッフの1人が犯人に扮し、リュックを足元に置いて観客になりすます。10分後にランナーが駆け込んでくると、犯人の男は携帯電話がかかってきたふりをしてその場を離れる。この時、置きっぱなしにされたリュックに何人が気づいたか。気づいた人は誰もいなかった。また、10人の顔写真を見て、いなくなった犯人の顔を覚えていた人は4人だけだった。
あのような状況では、人の記憶より防犯カメラが威力を発揮するということだ。今回、本当のところはどうだったのか。米国の威信をかけた捜査が続く。