この夏の参院選から日本でもネット選挙が「解禁」になる見通しだ。いわゆるインターネットを活用した選挙運動・活動が、いままでできなかったのが不思議だと感じる人も多いだろうが、違憲な1票の格差が長らく放置されている(た?)ことを思えば、むしろ当然のことなのかもしれない。
ブログで候補者応援・批判OK。有権者の電子メール送信はNO
とにもかくにも、このネット選挙解禁によって、候補者が選挙期間中に名前をしつこく連呼したり、清き1票をぜひ私にお願いしますと涙ながらに土下座することがネット上でも可能になったというわけだ。
有権者のほうも、ブログなどで特定の候補の応援をしたり、逆に批判することもできる。ただし、スパム、いや選挙運動の電子メール送信については、政党、候補者のみが可能で、一般有権者は認められてない。
ネット選挙でなにがどう変わるのか。まず投票率が上がりそうだという。お隣の韓国では一足先にネット選挙が全面解禁され、先の大統領選では投票率が前回より13%ほど上がったという。とりわけ若い世代の投票率の伸びが高かったそうだ。そのうちどれくらいが「ネット」のチカラによるものなのかは不明だったが、その実例として韓国の大学生が登場した。
これまで楽しいキャンパスライフをエンジョイしていて政治なんかにはまったく興味がなかったが、今回の選挙では知り合いのフェイスブックの「いいね!」などを通じて、口コミ的に政治家やその政策に興味を持ち、投票に行ったという。
「有権者の考え変えられないが、投票所に行かせることはできる」
スタジオゲストでジャーナリストの津田大介さんも、米国のオバマ大統領の選挙スタッフからこんな話を聞いたという。「ネットで有権者の考えを変えることはできないが、行こうか迷っている人を行かせることはできる。投票率を上げることが最大の効果だ」
津田さんは「有権者にとって一番のメリットは、政治家を判断する材料が増えること。また選挙以外でも、政治に触れる機会が増えて、政治が身近になる」などと話していた。
日本でもネット選挙で参院選の投票率が上がるのだろうか。その場合は、ネット効果なのか、それとも「上がった」ものの例にもれず、アベノミクス効果なのか。そのへんの判断はむずかしそうだ。
ボンド柳生
*NHKクローズアップ現代(2013年4月16日放送「ネット選挙解禁へ 政治はどう変わる」)