しらすは1年中店頭にあるけれど、旬は春だ。春の海にはプランクトンが大量に発生して、それをもりもり食べて美味しくなるのだ。しらすはカタクチイワシ、ウルメイワシ、マイワシの稚魚で、「DHAやEPAという体に良い脂を持っていて、それを丸ごと食べられる」(東京海洋大学・矢澤一良教授)すぐれものだ。ただ、傷みも早く鮮度が命だ。「鮮度がいいものの見分け方、生臭さを撃退する方法、カルシウムの吸収を良くするための一品などを紹介します」(宮下純一レポーター)
曲がったしらすは新鮮
駿河湾のしらす漁師・薩川一義さんの漁に宮下が同行した。とれたしらすのバケツに薩川さんは氷をドンドン入れる。「しらすの氷りづけが鮮度が一番保てるからね。漁は2時間で引き揚げて、直ぐに熱湯にくぐらせる。すべて鮮度のためです」
矢澤教授「時間が経つと分解酵素でイノシン酸が失われていきます。4時間で半減になる。だから船上で氷づけは大正解です」
★腹側に曲がったしらすは新鮮―「新鮮なシラスは体内のATPという物質で筋肉を動かしています。加熱すると筋肉が収縮し、お腹側は空洞が多いので縮むのです」(矢澤教授)
★チーズで生臭さ撃退―女子栄養大学根岸由紀子准教授が解説する。「生臭さの原因のトリメチルアミンはアルカリ性です。チーズの乳酸で中和させれば臭みが飛びます」
★小松菜、納豆、海苔、大葉と合わせて骨粗鬆症対策―シラス100グラムには成人女性が1日に必要なカルシウム量の80%を含んでいる。ただ、このカルシウムは直ぐには骨になりにくい。骨の中のタンパク質オステイカルシンを活性化させるためにはビタミンKが必要で、小松菜、納豆、海苔、大葉に多く含まれる。
(磯G)