東京電力福島第1原発事故現場で起った汚染水漏れで、廣瀬直己社長はきのう10日(2013年4月11日)、地下貯水池の使用を全面的に断念すると発表した。ポリエチレンを主とした貯水池の造りそのものが適当でなかったということらしい。
専門家によると、水漏れを起こした貯水池は普通のゴミ処理場と変わらない造りだった。「必ず漏れるものだから、それを高濃度汚染水に使うのははじめから間違い」(瀬戸昌之・東京農工大名誉教授)という。
政府の原子力関係に土木の専門家ゼロ
テレビ朝日の原発担当である松井康真記者が解説した。地下貯水池は7つあって総貯水量は5万8000トンだが、うち3つから汚染水が漏れていた。東電はこの3つから水を移す地上のタンクをなんとか確保したが、今後は貯水池を埋めて更地にしてタンクを造るという。
小松靖アナ「もともと足らないから地下に作ったんでしょう。タンクで間に合うんですか」
松井「ギリギリの計画です。貯水池の造りを国がどう見ていたか。昨年夏(2012年)に旧保安院の意見聴取会があって、除去装置という大きな問題のなかにちょこっと入っていた話だった」
そこに出ていた専門家は原子力工学とか量子力学とか機械工学の人ばかリで、土木の人がいなかった。「土木面のチェックができていない」と松井は指摘する。
司会の羽鳥慎一「気がまわらなかったということですか」
松井「現時点でもいないんですよ、原子力規制庁に土木のホントの専門家は。本来は資源エネルギー庁の役割で、いま現場では土木技術が大事になっているが、そこを能動的に国でやる組織がない」
東電いずれは「薄めて海の流す」腹づもりか?
行き場がなくなった汚染水2万3000トンで、だいたい60日分くらいだ。25メートルプール100杯分という。これを移すタンクをなんとか確保したということらしいが、貯水池はタンクを作るには地盤が弱いので穴を掘って地下式にしたものだという。そこにやっぱりタンク設置なんていうことで大丈夫なのか。
羽鳥「いつか処理能力を超えるわけですよね」
松井「東電だけではなく、日本、世界をあげてなんとかしないといけない。むろん減らす努力もしている」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「核物質の除去はできるのですか」
松井「できません。トリチウムがどうしても残る。規制の100倍程度の濃度で残ります。だから、あくまで法律だけでいうと、海水で100倍に薄めると規制をクリアできる」
玉川「海に流すということですか」
松井「東電はそうはいっていませんが…」
どこで漏れたか、どう止めるかだが、このメドがまったく立っていない。