おかしな話だ。北朝鮮のテレビが「ソウル・南朝鮮の外国企業、外国人は安全のために事前に退避すべきだと告げる」という。北が南を核攻撃するというのか。バカバカしい。「黄金バット」の紙芝居だってもう少しましな筋書きだぜ。
ところが、日本のテレビにしろ新聞にしろ、このニュースでもちきりだ。いわく「核戦争前夜」「複数のミサイル発射」「それは今日だ」と。まあ、ミサイルはありうるが、いきなり核戦争なんて、誰も信じちゃいないだろう。
韓国政府は「北の宣伝だ」と冷静である。ソウルの街頭でフランス人の男性が「北朝鮮のトップはおかしい」といっていた。横須賀の年配の女性が「ここに住んでるんだから仕方がない」と、この2つがこの日の最高のコメントだった。
中距離ムスダンこれまでに発射テストなしの「ぶっつけ本番」
誰も北朝鮮を攻めようなんて思ってもいないのに、いじめられてるとわめき続ける。それをだれも聞いてくれないから、ミサイルを発射するだの、核戦争を口にする、太っちょの北のお兄さんは要するにそういうことだろう。
射程4000キロといわれるムスダンは、これまで1度も発射されたことがない。まともに飛ぶのかどうか。その方が危ないといえなくもない。たとえミサイルを撃っても、実害がない限り騒がない。無視するのがいちばんだろうに、専門家はそういうわけにはいかない。
元防衛省研究官の武貞秀士は「同時に複数のミサイルを発射すると、迎撃システムを破り易い」という。受ける方が混乱するから当然だろうが、ということは戦争状態なんか想定していないということではないか。
本当は戦争準備すすめてない…平壌の外国人教授いつも通り、石油輸入の増加もなし
司会の羽鳥慎一「実際に撃つ可能性はあるんですか」
武貞「ミサイルを撃つには燃料の注入があるから、2、3日前からわかる。ただ、100%の探知はできない。また、戦争するには石油の輸入が増えるはずだが増えてはいない。ピョンヤンの科学技術大学の外国人教授たちもそのままですよ」
撃つぞ撃つぞという心理戦だが、実際に撃つ可能性も否定しない。心配はミサイル失敗の場合だという。韓国内に落ちれば韓国は反撃し、限定的な軍事衝突の可能性がある。「北にとって、ミサイルを撃ってもデメリットはほとんどない」と話す。
誤って日本に落ちてきたら悩ましいことになるだろう。湾岸戦争のとき、PAC3の命中率の悪さにみんなあきれたのではなかったか。落ちてこないことを祈るしかなさそうだ。