週末に日本中を荒れた春の嵐は、福島・郡山ではトラックが吹き倒され、北海道では時ならぬ水害に見舞われた。三重県では風力発電の風車が壊れたが、先月(2013年3月)には京都でも起っている。風車が風で壊れたのではしゃれにならない。
風速70メートルにも耐えるはずが…
三重県のウインドパーク笠取には人里離れた山中に19基の発電用風車があり、そのうち1本が折れた。ヘリコプターからの記者が「羽根の部分が折れ下に落ちているのが見えます。折れ曲がった支柱だけが残っています」と伝える。風車には高さ65メートル、長さ40メートルの羽根が3枚あるが、羽根の部分がユニットごと折れて落下、その重量は100トンを超えるという。支柱もひん曲がっている。耐用年数は17年というのに、2010年12月にできてからまだ2年4か月しかたっていない。
もともと、風車は風速25メートルを超えると自動停止し、羽根を風と平行にしてやり過ごす仕組みで、それでも最大瞬間風速70メートルまでは耐えるように設計されている。折れたときの風速は25メートル以下で、止ってもいなかった。京都・伊根町の太鼓山風力発電所でも先月、風車ユニットが落下したが、これも耐用年数になっていなかった。
専門家は「国産の風車ではこういうことは初めて。3年経ってないし、普通はちょっと考えられない。疲労寿命かもしれません。また、国土の7割が山で風が複雑。乱れがあって特殊なたわみが出た可能性もあります」(牛山泉・足利工大学長)という。
「発電用風車」全国に1870基
全国にはいま1870基の発電用風車が稼働している。東京・江東区の若洲公園にある風車わきでは、子どもを抱いたお母さんたちが「風は強ければ強いほどいいのかと思っていた」という。そうだ。もともと風の弱いところには設置されないもののはずだ。それが二十数メートルの風で壊れてしまっては話にならない。江東区は週1回の目視点検と、月1回の委託業者による点検が行われているが、来年度からは超音波を使った点検も行うという。
赤江珠緒キャスター「風速70メートルまで耐えるというのに、原因はなんなのでしょう」
リポーターの井口成人「いくつも考えられるが、いずれもまだ推測にすぎません」
司会の羽鳥慎一「地形の関係といえば、ほかでも起る可能性があるわけですよね」
舞の海秀平(スポーツキャスター)「家の近くにあったら、いつ折れるか心配しながら生活しないといけない」
宮田佳代子(ニュースキャスター)「一定以上の風がないと設置できないのに、風が強いとまた危険というのなら、基準を見直さないといけないですよね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「こういうことを繰り返しながらいくしかないですよね。いまのところは原子力発電よりはいい」