「朝ズバッ!」が「おでかけ前の朝刊チェック」コーナーで取り上げたのは、「汚染水漏れも『事象』」という東京新聞の記事だった。東京電力は放射能汚染水の貯水槽から大量の漏水があったことを、事故ではなく事象と言い続けているが、相変わらず事態を軽微に見せようとする姑息な言い替えじゃないかというわけだ。
以前には「汚染水」を「滞留水」トラブル小さく見せる小細工
東電広報部は6日(2013年4月)に汚染水漏れを発表したときも「今回の事象は…」と言い続けた。先月に停電を起こして冷却がストップしたときも「事象」だった。
司会のみのもんた「自称みのの自称じゃないよ」
小林悠アナ「事象とは出来事を意味することばですよね」
東電広報部は7日になって、「社内でそう呼んでいるのでつい口癖が出てしまいました。今回はトラブルが起きたということで…」と釈明したが、最後まで事故とは言わなかった。おそらく、東電社内に「事故とは言うな」という無言のプレッシャーが広報部門にあるのだろう。
小林「汚染水も滞留水と言っていました」
東電が事故や汚染水と使いたがらない狙いははっきりしている。事故をできるだけ小さく、深刻でないように見せたいのだ。
みの「こういう姿勢でいる間はダメだね、東京電力は。もっと真摯な態度見せないと。日本の原子力技術はすごいというけれど、事ここにいたっては、すごいもへったくれもないだろうというのが、僕の意見です」
社内も自己暗示にかかって事態軽視
柿崎明二(共同通信編集委員)「事象と言い替えることで外に向けて物事の深刻度を薄く見せるというだけでなく、事象と言い続けることで自分たちも自己暗示にかかっていく。大したことではないんだというような…。こうしたことが積み重なって、新たな安全神話が生み出されようとしているのではないでしょうか。これが一番恐いですよ。今回の汚染水漏れも前兆があったのに見逃していますから」
大渕愛子(弁護士)は「もっと慎重に真剣に考えて欲しいですね」といい、池田健三郎(評論家)は「政府や電力事業者の間で規定されている厳密な用語でご説明しているというのですが、そのことばがわれわれの感覚からずれている」と話す。東電はそのうち原発事故も「福島事象」、避難を「転居」と言い出すんじゃないか。
(テレビウォッチ編集部)