日銀の黒田総裁はきのう4日(2013年4月)、「これまでと次元の違う」という、強力な金融緩和策を発表した。2年間に市場に供給するお金の量を2倍にするというもので、早くもインフレに歯止めがかからなくなりはしないかとの懸念もいわれている。
総裁就任後初となる金融政策決定会合で決めたもので、会見で黒田は「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策をすべて講じた」といった。 その内容は市場に供給するおカネを現在の138兆円規模を2年間で270兆円にし、これまでより長い7年もの国債も買い入れるというものだった。
黒田は「2年程度で2%の物価安定目標に近づけ実現するためには、これより少ない額では不十分だ」と主張する。これに甘利明・経済再生相は 「110点くらいあげたい」、米倉弘昌・経団連会長も「日銀の強力な緩和姿勢をマーケットに発信できた。画期的なことだ」と大喜びだ。
東京・大田区の町工場「中小企業にはおカネ回ってこない」
市場はただちに反応して、発表後に不動産関連株を中心に買いが入り、株価は平均で400円以上も上昇、為替も95円60銭と大幅な円安になった。長期金利は一時0.425%と2003年6月の史上最低水準を更新した。
しかし、東京・大田区の町工場では「お金を貸してくれるというのは大企業。中小企業は借りません。だって仕事がないんだもの」という。「金融がいくら緩和されても、仕事が出てこなければ新しい機械も買えない」
一方、電気自動車SIM-CELを開発したベンチャー企業は「金融緩和はいい影響を与える」という。ガソリン車のスポーツカー並みの0~100キロ4.2秒、最高速度180キロというこの車の開発費は約5億円、26の企業から1社2000万円づつ集めた。「投資の意欲が上がれば、われわれの技術開発も加速できる」という。
株価1万4000~5000円超えるたらバブル心配
司会の羽鳥慎一「お金の流通量が2倍とはどういうことなんですか」
エコノミストで明大准教授の飯田泰之は「流通量より重要なのは『金利低下を促す』ことです。長期国債買い入れの平均残存期間を3年から7年に延ばすというのは、日銀が支え続けますよと宣言しという意味で、先行き同じ政策が続くとなれば安心して借りられる。7年間は大きいですよ」
飯田はこのとき「きょうマーケットは今年の最高値をつけて始まる。場合によっては1万3000円台を突破する」と予想したが、このあと実際にそうなった。
羽鳥「お金の量が2倍になって大丈夫なのですか」
飯田「2倍、3倍にした米英にくらべるとまだ控えめ。ただ、株価が1万4000~5000円になると、金融政策を離れて純粋なバブルになる可能性があります。そうなるまでにはまだ間があるが、そうなったときにどうするかが重要です」
羽鳥「一般にはタイムラグがある」
飯田「中小企業やベンチャーが動き出すまでには1年半。金融政策はパイを大きくするが、どう切り分けるかは政治になる」
その安倍首相は言葉の爆弾だけだったようにも思えるのだが…。それが大きく動いているのが不思議。