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ユニクロ「3年で半分が辞めていく」厳しい研修と売上げ至上主義にヘトヘト

   『週刊現代』に「『ユニクロ』『ワタミ』はなぜ新入社員が次々やめるのか」という特集がある。ワタミには失礼だが、論じる価値はあまりないと思うが、天下のユニクロが『ブラック企業』のようなところがあるというのは興味津々である。

   冒頭、週刊現代はショッキングな数字を示す。2009年にユニクロに入社した新卒新入社員の「3年内離職率」が53%にもなるというのである。ここ数年間も50%前後で推移しているというのだ。11年に入社して昨年退社したA君がこう語る。

<「採用活動自体は、エントリーシート、筆記試験、面接数回、という他の企業と変わらないものでした。ただ、内定後からとたんに厳しくなった。まず研修。僕のときは、夏休みにホテルに2~3日軟禁状態にされ、23ヵ条に及ぶ長い社訓を丸暗記させられました。
   最後の日にテストをするんですが、一字一句間違えてはいけない。かなりの数の内定者が合格できず、居残りで勉強させられた。営業部長クラスの社員が指導に当たっていたんですが、『ふざけてんのか』『やめたい奴はいまのうちに言っておけ』と常にプレッシャーをかけられていましたね」>

入社してからがさらにきつかったという。店長になるための昇進試験を受けさせられるのだが、そのために会社が作っているマニュアルを覚える。門外不出のため、店を閉めてから勉強を始めるから深夜に及ぶこともあった。

   A君は見事一発で店長試験に受かり、わずか半年で店長になる。しかし試験に受かっていない年上の部下と、スーパーバイザーと呼ばれる上司との板挟み、売上げ目標の達成が至上命令で、半年ぐらいで「うつ病」と診断され、結局、退職する。仕事量は多く、新入社員は残業代が出るが、店長は管理職扱いだから朝から夜中まで働いても残業代は出ない。幹部社員全員の口調が柳井正社長にソックリで、恐ろしくなったと元社員のB子さんが話している。

   こうした個人企業は、得てして宗教団体のように、一人のカリスマの下にひれ伏してしまうようになりがちだ。それ自体が悪いとはいわないが、いまどきの新入社員はそうしたものに馴染めずに辞めていくのだろう。

   学生側の甘えの体質にも問題はある。だが、早すぎる管理職登用は、安く社員をこき使おうという会社の意志だと思われても仕方あるまい。日本有数のグローバル企業のお寒い内情は、柳井社長が率先して反省し変えていくしかないはずである。ユニクロは週刊誌にとって大事なクライアントではないのかもしれないが、天下のユニクロに噛みついた現代の心意気やよしである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで 「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/ 2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オー マイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開 催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロ の町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競 馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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