デフレ不況中で低迷していた回転ずしがサバイバル合戦の時代を迎えている。激戦地の都心で、従来の回転ずしと異なる「直線高速ずし」を登場させ、大手回転ずしチェーンに挑む店が出てきたのだ。
注文してから届くまで7倍の速さ
東日本中心に50店舗を展開する「魚べい」が昨年7月(2012年)に東京・渋谷にオープンした店では、寿司は回っていない。直線のベルトの上を高速で流れる。名付けて「直線高速ずし」。回転ずしの7倍の速さで客の手元に届くという。どんな仕組みになっているのか。
ネタが表示された目の前のタッチパネルで客が注文すると、厨房のモニターに表示され、ロボットが作ったシャリにネタが乗せられ、座席番号を押すと直線高速レーンで客の前に届く。この間わずか43秒で、80種類のネタがすべて105円で楽しめる。
現在、回転ずしチェーンの店舗売上高(2011年度)ランキングは、1位スシロー(998億円)、2位かっぱ寿司(818億円)、3位無添くら寿司(744億円)で、これが大手3強である。「魚べい」はここに割って入ろうと狙っているのだ。
魚べい地区マネージャーによると、回らないことによるメリットは客の回転率が向上すること。回るスタイルより10分ほど短くなり、売り上げも1.5倍に増えたという。
寿司サバイバル時代!客の前でさばくパフォーマンス
一方、従来型の回転ずしを維持しながらネタと安さで勝負に挑むのが、首都圏で8店舗を展開するダイマル水産だ。大竹真レポーターが訪れた東京・西東京市の田無芝久保店では、珍しい北海道産の黒ガレイを1皿105円で提供していた。ダイマル水産のネタの8割は北海道産で、すべて1皿105円は他の店とだいたい同じだが、客の前で魚をさばくパフォーマンスが目玉になっている。
安さの秘密は北海道漁連と提携し、その日に一番多くとれた魚を仕入れる仕組みにしているからだ。空輸で翌日には首都圏の店頭に並べられるという。
キャスターのテリー伊藤(タレント)が直線高速スタイルを「パチンコ店に近いですね」という。まあ、たしかに客がズラリと横に並んで座る方式はパチンコ店と似ている。司会の加藤浩次が「店主と会話ができる街のお寿司屋さんにも行って欲しい」と付け加えるのを忘れなかった。