アベノミクスによる円安と株高で景気回復感が出てきた中、期待と緊張の思いを胸に多くの若者が1日(2013年4月)、新生活をスタートさせた。「スッキリ!!」が取り上げたのは一味違った入社式だった。どこの会社も新入社員に仕事の責任を自覚してもらおうと必死だ。
「明るい性格生かすには人と触れ合うバスガイド希望」
観光バスやホテルなどの「はとバスグループ」は、バスガイドの制服を着こんだ新入社員に「なぜこの会社を選んだの」「30年後の自分はどうなっているか」と質問をぶつける。「自分の長所は明るいというところしかないのですが、(バスガイドなら)たくさんの人と触れ合うので、その部分を生かしていきたいと思いました。(30年後は)はとバスで教官になっています」「バスガイドになりたかった母親が『バスガイドになるならはとバスだよ』といわれて希望しました。(30年後は)東京の街をすべて案内できるようになっていたら良いなと思う」と初々しい答えが返ってきた。
自転車で100キロ走るサイクリング入社式を行っているのは埼玉県越谷市にある自転車メーカーの「ホダカ」だ。山崎一社長は「本当にこのタイヤで良いのか、このブレーキで良いのか、この仕様で良いのか、実際に乗って初めて分かるんです。乗ることによって、物づくりが大きく変わってきたのは事実ですし、営業でも説得力が違います」という。
社長の指摘は当たっている。ある女子新入社員は「同業の会社を回ったが、サイクリングをやるのはここだけ。それで希望した」という。簡単な入社式のあと、全員が着替えてサイクリング。100キロ完走を果たせなかった新入社員もいたが、この会社は毎月サイクリングを実施しており、いずれはたくましい社員に成長するのだろう。
お好み焼きソースで知られる広島市の「お多福グループ」は、保護者同伴の入社式だった。「お好み焼きで家族団らん」を願って30年前からの恒例になっている。9年前からは新入社員が親に感謝の気持ちを伝える「声の手紙」を入社式で読み上げる企画もとり入れた。この日も女子新入社員が「お父さん、お母さん生んでくれてありがとう」。当然、涙、涙の入社式になった。
物心ついたときは不況の真っ直中
大手就職情報サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長によると、今年の新入社員の特徴は「悟りの世代」だという。物心ついたときは夢を持ちづらい不況の真っ只中で、大手企業に就職することが必ずしも幸せの価値ではないと悟り、自分にとって良い会社にこだわった世代という。
司会の加藤浩次は「では、東大生はどうですか」と、東大教授のロバート・キャンベルに話を振る。「会社に入る前から自分の力を過信している学生が結構いますね。最近は、一生この会社にはいないという前提で、異業種の人とコミュニケーション取ったりして自己訓練しています。悟りとも違う、ある意味で前向きなんですがね」という。
加藤が「じゃ立教大生は?」
立教大教授の香山リカ(精神科医)「中間ですね。安心したい、終身雇用にして欲しいという学生が増えている」