ミスター(長嶋茂雄・読売巨人軍終身名誉監督)とゴジラ(松井秀喜・元大リーグ野手)が国民栄誉賞をダブル受賞した。街の声は複雑で、「ホントですか、良かった」と素直に喜ぶ声があれば、「(長嶋については)遅かったぐらいじゃないでしょうか」「なぜ、突然に?」といぶかる声もある。受賞する2人もビックリしたようで、松井は「ただただ恐縮してます。ひとえに長嶋監督のおかげ」と長嶋からもらったようなコメントで、長嶋も「苦楽をともにした松井君と一緒。これ以上の喜びはない」と、2人とも評価されたことよりW受賞を喜ぶという妙な話になっている。
王、衣笠には世界記録があるが長嶋にはない
スタジオのコメンテーターたちの反応も複雑だ。杉尾秀哉(TBSテレビ報道局解説・専門記者室長)は「お祝い事ですからいいんですが…」と言いながら、「あえて言うと『なぜなんだろう』というのはありますね。きのうの記者会見でも結構『どうしてバッターばかりか』など質問が出てました。また、過去、野球から選ばれたのが王さんと衣笠さん。2人とも世界記録を持っているが、記録がない。その辺はあります」と話す。最後は苦笑しながら「いいことであることは間違いない」と繰り返した。
スポーツプロデューサーの三屋裕子さんは「記録よりも記憶の賞だと思います」と無難な言い方だ。「なぜっていうのは確かにあると思うんです。大リーグで言ったら『野茂さんはどうなの?』とか。高橋尚子さんが取った時も『じゃあ、谷亮子さんはどうよ』っていう声もあったように、疑問は出てくると思いますが、そういう曖昧さが国民栄誉賞かと思います」と、こちらも最後は苦笑いだった。
内閣の狙いは参院選向け人気底上げ
「サンデー毎日編集長」の潟長秀一郎は安倍政権の思惑について解説した。「けさ2日(2013年4月)の毎日新聞に載ってますが、安倍さんはまず去年の12月29日に『松井さんに』と言いだした。そしたら、周囲から『じゃあ、長嶋さんは?』ということで2人一緒になったようです。安倍さんの人気っていうのは、日本を元気にするということで支えられているところがあるから、一番元気だったころの象徴みたいな長嶋さんにあげることで、政権の人気浮揚を図る狙いもあるんじゃないでしょうか。便乗のような気もしますが…」
政治評論家の有馬晴海氏は「夏の参院選へ向けた戦略ですよ。安倍さんの人気は今が絶好調。永田町では『この状態をあと4か月維持するのは大変』と言われている。そこで、人気を上げる一つの要因ということで国民栄誉賞となったのだと思います」と話す。まあ、その辺のところは国民もすでにお見通しだろう。
ヤスベエ