「死の女医」入院患者300人殺害―貧乏な病人は儲からないと人工呼吸器停止

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「私たちの仕事は患者をあの世に送ることよ」

   患者300人を殺害した疑惑がもたれ、「死の女医」と呼ばれる女性医師がブラジルを震撼させている。ブラジル南部クリチバにある民間病院の集中治療室責任者だったビルジニア・デソウザ容疑者(56)は、部下の医師や看護師らに指示して患者7人を殺害した疑いで2月に逮捕された。

   患者7人はいずれも筋弛緩剤を投与され、人工呼吸器への酸素供給を減らして窒息死させられていた。地元新聞の記者によると、「300人以上の患者が殺された可能性がある」という。

「私たちの仕事はあの世に送ること」

   殺人は被害者の家族の訴えで警察が捜査に乗り出し発覚したのだが、女性患者が昨年12月(2012年)に家族宛てに書いた手紙には「病院を出なきゃいけないの!きょう。彼らは私を殺すため一晩中機械を止めたわ。早く出して」と書かれていた。警察が内偵捜査の過程で盗聴した女医と部下との会話には、こうした殺しを裏付ける衝撃的な内容があった。

「あの病人は死んだも同然。もう意味がないから人工呼吸器を止めて」
「もう止めました」
「次にイヴォ(患者名)も止めよう」
「家族を待ちますか」
「彼の奥さんは遠いいところに住んでいるから、その必要はないわ」

   女医は「残念だけど私たちの仕事は患者をあの世に送ることよ」は平然としていた。女医はなぜ患者を次々にあの世に送ったのか。病院の収入だった。元従業員は「金持ちの患者に対しては頑張っていましたが、貧しい患者は使えない商品のように扱っていました」という。

金持ち患者は支払い多い民間保険で謝礼もたっぷり

   背景には医療保険制度がある。公的医療保険と民間医療保険があり、公的保険は保険料が安いため貧困層が多く、待ち時間のない民間保険は富裕層が利用している。富裕層の患者は医師へ謝礼を渡すことが恒常化していて、貧困層の入院患者を減らし富裕層の患者を増やせば、病院も医師も収入が増えるというわけなのだ。殺人に関与した疑いで部下の医師や看護師7人も警察に逮捕されたが、女医は無実を主張しているという。

   キャスターの小倉智昭「長いことやっていればこの悪事はバレますよね」

   コラムニストの深澤真紀「こういうニュースを見ると、保険制度の問題は難しい。日本の『国民皆保険』とか『医療は平等』であるという前提は素晴らしいと改めて思いますね」

   そうした良き前提も、TPP参加交渉を契機に「例外なき聖域」に保険制度が組み入れられれば、外資が上陸し医療の差別化が進むのではと懸念されている。遠い国の出来事では済まされなくなる。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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