埼玉県久喜市で今年初め(2013年)、息が苦しいと119番通報した75歳の男性が、36回も病院で受け入れ拒否されたあげく死亡したが、病院が不足しているわけでもない首都圏でなぜこんな事態が起きたのか。「直撃御免」コーナーがで埼玉県の救急医療現場を直撃した。
25の病院に拒否されて死亡した75歳男性や30代妊婦
男性が救急車を要請したのは午後11時過ぎで、救急車が到着し救急隊員が最初の病院に受け入れ要請して拒否されたのが午後11時38分だった。それから重複を含め25の病院に受け入れを拒否され、最後に受け入れが決まったのは茨城県内の病院で、到着したのは日付が変わって7日午前2時15分だった。
この2時間半の間に男性の容態は悪化していった。久喜消防署鷲宮分署の菱沼久男分署長によると、「呼吸状態が悪化したのは30分ほど過ぎた翌日零時10分ごろでした。0時50分には心肺停止状態でCPR(人口蘇生)を開始しました」という。それでも10件以上の病院から拒否された。
埼玉県内の救急現場を調査すると、この男性だけが特別に時間がかかったわけではないことがわかった。三郷市では2011年12月に心肺停止した30代の妊婦が救急救命センターに受け入れを拒否され、1時間以上もかかって25キロ先の東京・墨田の病院に運び込まれたが亡くなっている。
ゲスト出演した医療ジャーナリストの伊藤隼也は怒る。「県内の医療機関はこの事実を把握しているが、これまで表には出ていない。このケースは県や国がきちんと検証すべき問題です」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト