女子選手へのパワハラから始まった全日本柔道連盟の不祥事が、とうとう金の話になった。理事や指導者に支給されている助成金の一部を連盟が吸い上げ、裏金としていた疑惑だ。現職理事の1人が、その手口などを明かした。
助成金はサッカーくじ「toto」の収益金や政府からの出資金の運用益などが財源で、日本スポーツ振興センター(JSC)が出している。有力選手だと年間最大240万円、コーチなど指導者は120万円までだ。プールした残高は「2000万円」という。
浮上した疑惑は、実際に選手を指導していない全柔連の理事が指導者として助成金を受け取り、その一部を半ば強制的に全柔連に「上納」していたというものだ。この金が海外遠征や交際費的に使われていたことを幹部も認めている。
全柔連の上村春樹会長は22日(2013年3月)、「調査してから報告します。(組織的かどうかは)調べてみないとわからないが、組織的とは思っていない」と話した。
「勝手に指名され支出費目もでっち上げた」現職理事
現職の理事が「朝ズバッ!」にこう語った。「選手の指導はできない立場なのに、連盟から『誰それのコーチになった』と指名された。2年間で2人。お金を受給して指導したという報告書を出したのは事実です。しかし、1度も指導はしていない。
断らなかったのは柔道界のしがらみです。名前も出ていて言いにくかった。金は口座に振り込まれたが、もらう資格のない金、気持ちの悪い金ですからずっと入れっぱなしにしています。金額は1回30万円で、10万円を全柔連に納める。事務局からこの口座に振り込めと指示がくるんです」
この理事は連盟から架空の活動報告書の提出を求められたが、それにはモデル(記入例)が添えられていて、収入、支出の費目、金額までが細かく書かれていた。理事はその通りに記載して提出したという。理事は「どこがモデルを作っているかわからない」というが、明細にはトレーナー代、旅費、ジムの貸し切り費、消耗品費まであって、やってもいない指導を「やった」とする内容だった。組織的であることは明らかだ。
2011年度の全柔連に対する助成金は、団体として1億3000万円、選手・指導者個人として1億1800万円が支給されている。JSC側は「(今回明らかになった使途は)助成の趣旨に反する。不正となれば、個人には返還を求め、団体にはペナルティーを科す」という。
会長以下執行部は全員ただちに辞職しろ!
バルセロナ五輪女子柔道の銀メダリスト・溝口紀子さんは「お金をいただくのは指導者の職責があるからで、紙でコーチ関係は結べません。暴力事件からお金まで、はっきりいって組織としての体をなしていない。ある意味、理事が選手を金づるにした選手の思いを踏みにじる行為ですよ。会長以下、執行部が退陣しないと、柔道家としてつらい」という。
上村会長は助成金の流用を認めたとき、「きちんと明確にするのが私の仕事」と述べ、理事会で会長以下執行部全員の留任を決めてた。26日には緊急理事会が開かれる。
きょうは司会のみのもんたはお休み。井上貴博アナが「本来、アマの環境をバックアップする助成金のはずだが」と眉をひそめる。柿崎明二(共同通信編集委員)は「いままででも十分じゃないのに、これでますます金が出せなくなる。会長以下に辞めてもらって、新しい布陣で再出発しないと納得されませんよ」
井上「辞めるべきだと?」
柿崎「なぜここまできて辞めようとしないのか。その動機を疑われる」
池田健三郎(評論家)「かなりひどい。選手を金づるにしている。税金由来の金が入っているんだから」
弁護士の大淵愛子は「悪質性が認められますよ。もともと指導する金なら横領だが、指導するつもりがないのだから詐欺にあたる」という。
柿崎「スポーツだから捜査機関が入ると影響が大きすぎる。その前に、自分たちで始末をつけないと」
まったくだ。東京オリンピックだって来なくなっちまう。