女子選手への暴言・暴力、助成金の不適切使用など不祥事が次々と噴出しながら、全日本柔道連盟の執行部は誰一人責任をとることなく、きのう18日(2013年3月)の理事会を終えた。
「この難局に一丸となって取り組んでいくことでご理解をいただいた」
自らの進退問題が注目された上村春樹会長は何度も「一丸」を強調した。問題の深刻さにどこまで気付いているのかいないのか、一連の対応が後手後手に回った執行部が「一丸」となることで果して改革は期待できるのか。
上村会長の厚顔「一丸となって改革に取り組むのがわれわれの仕事」
3時間半の会議では、会長以下執行部の総辞職も提案されたが賛同者が現れず、全員の留任が決まったという。終了後の記者会見で「不祥事が続いた責任をとっての辞任や総辞職の考えはないか」と質問が出たが、上村は「そういう話が出たのも事実ですが、今やるべきは第三者委員会の提言を実現していくのがわれわれの仕事だ」と述べた。
新たなプロジェクトとして、外部・女性理事の登用を含めた組織改革やコンプライアンスの徹底などの改革に取り組むことが決まった。その中で、強化部長を兼務する女性の強化副委員長を設け、増地千代里さん(バルセロナ5輪銅メダリスト、旧姓・立野)を起用することが発表された。
やっと女性の強化副委員長…上からのご指名で発言権ある?
司会の羽鳥慎一がゲストの柔道家でソウル五輪銅メダリストの北田典子氏に聞く。「これまでと同じメンバーで改革を進めることについてどう思いますか」
北田「おそらく世間の方には納得してもらえないと思いますが、組織の決断なので改革が進むよう見守りしかないと思っています」
羽鳥「執行部続投の背景はどんなものなのでしょう」
北田「講道館名誉館長の嘉納行光先生(嘉納治五郎の孫)の発言が大きな影響を与えたと思います」
強化副委員長に増地が起用されることについては、「詳細はわかりませんが、人間的には大変立派な方ですが、心配しておりますのは園田隆二前監督と同様に、段階を経て経験を積んだ方がそれだけのポジションに当たらなければ、苦労するのは本人だなという気がしています。私も裏で支えられるところは支えていきたい」と微妙な発言をした。
羽鳥「全柔連が指名したとなると、その全柔連に今後いろいろ言えるかどうか、難しい問題ですね」
北田「そうですね」
羽鳥「うーん、どうでしょう。まあ、女性が入るのは第一歩としてはいいことなんでしょうが」
宮田佳代子(城西国際大学非常勤講師)「北田さんが発言する機会はないんですか」
北田「全くないですねえ」
「一丸」となってどちらへ向かって行こうとしているのか、その方向は見えない。