第3回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準決勝で、日本(侍ジャパン)はプエルトリコに1対3で敗れ3連覇を逃した。投打とも相手チームが上回っていたという見方もあるが、誰しも残念に思うのは、8回の重盗失敗による逸機だ。けさ19日(2013年3月)は金曜日のレギュラーコメンテーターの長嶋一茂(スポーツキャスター)が出演しその場面を解説した。
行けると判断したら行け!
0対3で迎えた8回裏、井端の右前タイムリーで1点を返し、続く内川の右前安打で1死1、2塁となり追加点のチャンスを迎えた。しかも、打者は4番阿部。この2球目、井端と内川がスタートを切った。重塁を狙ったかに見えた。ところが、井端は2、3歩進んですぐ止まった。内川はそのまま走り込むが、ベース近くで目の前の井端に気がつき、挟まれタッチアウト。阿部は2塁ゴロでチャンスは消えた。
いったい、何が起こったのか。長嶋によると、ポイントは「グリーンライト」だという。青信号のことだが、野球のサインのひとつで、「行けると判断したら行け」という指示だ。相手投手の投球動作が大きいことはビデオで確認しており、ここ一発のチャンスに仕掛けた大勝負だった。山本監督も「重盗を行ってもいいというサインだったが、ちょっと井端のスタートが遅れたので、ああいう結果になりました」と説明している。
井端は「別にTHIS BALLではなかったし、ちょっと差し込まれたので1歩スタートを切ってやめました」といっている。内川は「飛び出した自分が全部悪い。ぼくのワンプレーで終わらせてしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいです」と涙ぐんでいた。
打者は4番阿部!走らせずに打たせるべきだった
2塁走者は100%成功すると確信があって、はじめて3塁へ行ける。1塁走者は2塁走者の動きを見て走るかどうかを瞬時に判断しなければならない。長嶋がいうには「内川選手は反応が良過ぎた。ぼくだったら井端選手を見て1塁に戻っているが、内川選手は走塁のスキルが高く、一気に2塁近くまで行ってしまった。ミスといえば、井端選手が止まって戻るところを見ていなかったことだが、反応が良過ぎたためだ。内川選手を責められない。グリーンライトの盲点です」と内川をかばった。
コメンテーターの舘野晴彦(月刊『ゲーテ』編集長)が素人の立場から質問する。「山本監督は阿部さんと心中するといっていた。むしろ、走るなといって、阿部さんに打たせた方が良かったのではないか」
長嶋「現場の雰囲気で監督が指揮をとっていることなので何とも言えないが、そういう考え方もあると思います」
まあ、それは結果論というものだろう。司会の羽鳥慎一が「結果的にはこうなりましたが、非常に盛り上がりました。責めることなく迎えていいんじゃないでしょうか」と引き取った。ほんとに盛り上がっていたかな?