負けるときはこんなものなのだろう。侍ジャパンはプエルトリコとの準決勝で1対3で敗れた。誤算がいくつもあった。先発の前田が連続フォアボールとヒットであっさり先制点を許す。2番手の能見が2ランを浴びる。相手の投手陣が良く打てない。致命的な走塁ミスも出た。
8回だった。3塁打の鳥谷を井端が返してまず1点。さらに内川のヒットで1、2塁のとき、ダブルスチールを仕掛けたが、スタートが遅れた井端が止まった。内川がこれに気づくのが遅れ、2塁近くまで走ってしまった。あえなく挟殺。打席の阿部も2ゴロで終わった。ここで勝負あった!
メジャーリーガー対日本
予選でも日本は危なかった。キューバが消え、アメリカも消えるという波乱。決勝はドミニカ共和国とオランダの勝者とプエルトリコが争う。ドミニカ、オランダ、プエルトリコの選手のほとんどが米メジャーリーグでプレーしている。つまり、メジャーリーガー対日本だったのだ。日本にはメジャーの選手はいなかった。楽天の田中が試合前に「メジャーがいないから負けたといわれたくない」と話した。
終わって山本浩二監督が選手にかけた言葉がよかった。「ここまで来れてホントにありがとう。すばらしいチームになった。笑顔で帰ろう。お疲れさん」。公式コメントも「選手は本当によくやってくれた。素晴らしい選手とできて、私は幸せです」。走塁ミスについても「いってもいいというサインがあった。ひとつでも前に進もうという作戦に悔いはない」と。
衣笠祥雄「イケたらイケでなく、はっきりしたサイン出すべきだった」
解説の佐々木主浩に司会のみのもんたが「感想を聞きたいんだけど、これからの野球人生を考えると、言いたいこともいえないんじゃないか」と笑いながら話を向けた。佐々木は8回のダブルスチールを「(『いってもいい』は)ありえない」という。これに現地の解説をした衣笠祥雄も「ありえない。はっきりサインを出した方がよかった。残念です。試合開始から急に寒くなって打線が湿った。もう少し打ってくれるかと思った」という。
みの「日本の野球も世界に通用する」
衣笠「井端、内川の打ち方が日本の野球。パワーではこちらはかなわないが、狙いをつけて打っていく。これだと思う。プエルトリコも研究していた。中田を徹底的にスライダーで攻めていましたからね」
現地中継の後ろでは、次のドミニカ・オランダ戦の練習が始まっていた。これを見るとあらためて惜しいなと思う。