「大人の発達障害」職場に生かせ!「コア上司」に人間関係の悩みやトラブル相談

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苦手なコミュニケーション能力訓練し90人が就職

   そうしたなかで、発達障害者の多様な才能を生かそうという取り組みも始まっている。国や治自体の依頼を受け、発達障害者を訓練して、就労を支援する施設だ。細部にこだわり過ぎ、相手の質問に短く適切に答えられない弱点を補うために、考えを整理してから報告するように訓練したり、持っている特性を逆に強みにするよう自信を持たせたりとなすなる3年間で90人以上の発達障害者を就労させた。

   発達障害者の多様な個性を貴重な戦力として位置づけ、20人ほどが働いているIT関連会社もある。この会社では職場で発達障害の弱みが現れたとき、その弱点をカバーする「コア上司」と呼ばれる人事制度を設けている。業務上の上司とは別に、職場の打ち明けにくいことをコア上司に相談してアドバイスしてもらうのである。

   発達障害の就労事情に詳しい宇都宮大学の梅永雄二教授が、内多勝康キャスターの質問に答える。「発達障害支援法が施行されたのは2005年4月ですから、もう8年も経つのにまだ浸透していない原因はどこにあるのでしょうか」

   梅永教授「まず、発達障害は目に見えないということがあります。また、知的障害でないので、普通の小中高校、大学にも進学している状況から、一般の人たちには理解できないのだと思います」

   内多「受け入れる企業側としてはどういう対応が必要になりますか」

   梅永教授「最初は『発達障害』という障害を理解してもらうこと。次にいろんな特性を持っているので、当事者の特性を理解すること。どんな悩みを抱えどんなニーズがあるのか把握すること。バラツキのある方が多いので、得意とするところの仕事を見つけてあげることが重要です」

   内多「大人になって発達障害と診断された場合、診断の前と後で変化はありますか」

   梅永教授「相談にこられる多くの人は、ホッとしたと言う人が非常に多いです。精神的に疲れが取れたというのか、小中高校でいじめにあったり学校に行けなかったり、いままでずっと生きづらかったというんですね。

   本人の問題じゃなく、環境という相互作用のなかで生きづらくなっているのですが、その生きづらさの原因が発達障害と分かって、アッ、自分の性格の悪さじゃないんだと安心するわけです。これからどう生きていこうかという指針を得ることができたという理由からホッとする人が多いのでしょう」

   知的レベルに遅れはなくても、楽しみを人と共有できない、コミュニケーションがとれない、変わった個性というだけで受け入れない社会・集団のほうが未発達のように思えてならない。ここでは定着している発達障害という言葉を使ったが、知的障害と誤解されかねないこの言葉にも違和感を覚える。

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2013年3月13日放送「『大人の発達障害』個性を生かせる職場とは? 」)

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