「大人の発達障害」職場に生かせ!「コア上司」に人間関係の悩みやトラブル相談

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   バリバリ仕事はするし能力もあるが、周囲の状況に無頓着、周りの空気が読めない。集中力や記憶力に優れている反面、コミュニケーションがとれず、職場で孤立してうつ病になる人が増えているという。とくに追い詰められているのが、「大人の発達障害」と呼ばれる広汎性発達障害の傾向のある人たちで、今や人口の10%にのぼるという。

   多様な才能や意欲を持ちながら、周囲の無理解で活用されず疎外されている現状に、「社会全体が損失を蒙っている」と専門家は指摘する。どうすればこうした個性を生かすことができるのか。発達障害者を生かす職場づくりの模索が始まっている。

多様な才能・能力の疎外「社会的損失」

   「大人の発達障害」の外来がある東京世田谷区の昭和大学付属烏山病院では、月に1度の受診受付日になると電話が殺到する。予約は毎月200件ほどに達し、開設した4年前に比べ10倍に増えた。典型的なケースは「職場の空気が上手く理解できない」「『暇なときにやっておいてくれ』という上司の言葉を、額面どおり受け止め叱られた」などだ。トラブルからうつ病を発症し病院を訪れる人が多い。

   なぜ、コミュニケーションをうまく取れないのか。東大付属病院ではそのメカニズム解明に取り組み、さまざまな実験を行っている。その一つが、「ひどいね」と笑顔で否定的な言葉を言われると、人の脳がどういう反応を示すかを調べる実験だ。一般的には、言葉だけでなく表情を含めて相手の意図や気持ちを判断する。そのときに「内側前頭前野」部分が活性化する。しかし、「大人の発達障害」をかかえる人はそれほど反応しない。表情から相手の意図を理解する力が弱いからだと見られている。

   「大人の発達障害」の人が持っている集中力など、優れた特性を踏まえて職場作りをする必要があると指摘する専門家もいる国立精神・神経医療研究センターの神尾陽子部長が全国2万人を対象に広汎性発達障害の傾向があるかどうかを調査したところ、10%以上の人に強い特性があることが分かったという。

   神尾部長は「社会が心の健康に無関心であり続けるならば、不安だとかうつの症状を持つ人たちは今後増えていく。その結果、いろいろな多様な才能や意欲を持つ人たちの活用ができなくなり、社会全体が損失を蒙ると思う」と憂えている。

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