「3D」は映画やテレビに限ったことではない。いま「夢の印刷機」という3Dプリンターが大注目なのである。3Dとプリンターとは、なんとなくピンと来ない組み合わせだと思う人もあるかもしれないが、それでいったいなにができるのか。
たとえば、車のバンパーなどは金型に材料を流し込んで部品を造って組み合わせる。3Dプリンターを使えば、データをもとに紙に印刷するような具合に複雑な形のバンパーが一体的に造れてしまうというのだ。バイオリン、洋服、人工骨なども作成できるという。
殺傷能力ある銃も製造
製品を大量生産するのには金型を造ったほうが効率的かもしれないが、金型を造るのは手間であるしカネもかかる。3Dプリンターならば生産設備を持たない中小企業などでも低コストで製作が可能だ。試作品をいくつも造って実際に手にすることができる。
さらに、個人が自分でデザインしたアクセサリーや小物などを、業者の3Dプリンターを使って現物化するといった用途にも使われている。こうしたことから、3Dプリンターは「多品種少量」なモノづくりを実現してくれる機械と考えられる。
しかし「ものづくり」のハードルが下がれば、その功ばかりではなく、罪もまた大きくなる。2Dプリンター(コピー機)で贋札を製造する人があるが、3Dプリンターでは殺傷能力のある銃を製造した例があるという。
「こういうもののデータが出回ると非常に危険です。キャラクターのコピー商品などを造る人も出てくるかもしれない」(小林茂・情報科学芸術大学院大学准教授)
インターネットなどを通じて「情報」の流通形態が大きく変わっているが、3Dプリンターで「モノ」のあり方、造り方も大きく変わるのかもしれない。
ボンド柳生
文
ボンド柳生