全員が納得するまで時間無制限という触れ込みだったが、2時間足らずであっさり収束した。きのう13日(2013年3月)の自民党のTPP対策委員会の総会だ。反対派委員による選挙区向けのパフォーマンスという見方もあり、良くも悪くも自民党らしい会議の収め方だった。
参院選に向けて支持者・後援組織への言い訳作り
総会で議論されたのは、TPP交渉で農産物などの関税撤廃を例外とするよう政府に求める決議文だ。すでに安倍晋三首相とオバマ米大統領との会談で「聖域なき関税撤廃が前提ではない」ことは確認されたとしており、大きな紛糾はなかった。ポイントとなったのはその文言で、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物(サトウキビなど)と国民皆保険制度について、「聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、辞退も辞さない覚悟で交渉にあたるべきである」とあったのを、「脱退も辞さないものとする」と強めた点だ。これによって反対派も納得、賛成派と折り合いがついたという。
司会の羽鳥慎一「時間無制限といっても、早めに終わるという予想がありましたが、予想通り早く終わりましたね」
コメンテーターの玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「次の参議院選に向けて、支持者に言い訳する材料がそろえばいいというニュアンスがあったのか、なかったのか」
米国相手に本当に国益守れるのか
テレビ朝日政治部の藤川みな代記者は、舞台裏をこう解説する。「200人近い議員がいましたが、意見を言ったのは20人ほど。反対派のなかにもあきらめムードがありました。自民党は最後はまとまる政党だとして、党内の争いを外部に見せてはいけないという声が反対派のなかにもありました。反対派の意見を幹部が引き取って文言修正で拍手で了承という、自民党ではよくある流れになりました」
羽鳥「先の衆院選でTPP反対で当選した人もいると思いますが、今回の決定はどういう影響が出てきますか」
藤川「安倍内閣の支持率も高く、世論調査でもTPP参加への一定の支持があり、あまり大きな火種にはならない見通しです」
安倍はあす15日に交渉参加を表明する予定だが、問題は今からTPP交渉に参加して国益をしっかり守ることができるかどうかだ。「そもそも総研」コーナーで、元外交官の孫崎享氏は悲観的な見方をしていた。これまでは国内の攻防だったが、これからはいよいよアメリカはじめ諸外国とのタフな交渉が始まる。