瓦礫受け入れ検討だけで復興予算86億円交付―施設造らなくても「返還義務なし」

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   なんとも腑に落ちない話である。大阪府堺市は東日本大震災の瓦礫の受け入れをしていないのに、ゴミ処理施設の建設費として86億円の復興予算の交付を受けていた。瓦礫の処理を検討すれば予算の交付が受けられるという制度のためだ。地元では「返納すべきだ」という声も上がっているが、返納制度がないため、具体的な動きはない。

大阪・堺市市長「ありがたくいただきたい」

   リポーターの井口成人が堺市環境局環境事業部の小坂弘泰・廃棄物政策課長を直撃した。「復興予算を現地の復興とは違うところで、何十億円も使うことに心が痛みませんか」。小坂課長は答えにくそうに「その辺に関しましてはコメントしにくい部分があります。お察し願いたい」という。

   だが、堺市に責任があるわけではない。ことの発端は去年(2012年)3月、国が出した「震災瓦礫の受け入れを検討すれば、結果として受け入れることができなかった場合でも返還は生じない」という通達だ。放射性物質に対する不安などからなかなか進まない震災瓦礫の広域処理を促進するため、「受け入れ検討」を条件に、関連施設の改修費用などのために復興予算を交付するとしたのだ。

   小坂課長が経緯を説明する。「申請の時点では、通常通り一般枠でお願いしますといったのですが、環境省の方から『復興予算を使ってくれませんか』と問い合わせが入ったのです。『86億円全額を国が面倒みます』と」。これによって、市の一部負担がなくなり、一般財源枠より23億円多く受け取ることになった。

   リポーターの井口が小坂課長にさらに聞く。「自主的に返納するようなことは?」

   小坂課長「そういう返納制度はございませんので。われわれとしては、問題のないお金であるとしかコメントのしようがありません」。竹山修身市長も「財源確保は首長の責務。ありがたくいただきたい」といっている。これに対し、「現地では30万人もの人たちが避難生活をしている。復興住宅も3割しか建っていないのに」「瓦礫を受け入れないのに、お金だけをもらうのはおかしい」などと市の対応に異議を唱え返納すべきという声もある。

文   一ツ石
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