最新鋭の津波観測機「警報出しても逃げてくれないと意味ない」(気象庁)

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   海の上になにやら小型灯台のようなものが浮いている。船の航路を示すブイではなく津波観測器だ。「アカデミヨシズミ」コーナーで、石原良純(タレント・気象予報士)が津波観測の最前線を取材した。

沖合400キロの海底からコードレスで警報

   石原良純は「津波の警戒を呼びかける警報は3段階ありまして、年間を通じて頻繁に出される津波注意報、間に1回出るか出ないかの津波警報、そして、気象庁が始まってからこれまでに5回しか出されていないのが大津波警報です」と解説する。

   気象庁地震火山部を訪問した石原を、尾崎友亮さんが津波観測の心臓部、地震火山現業室に案内した。そこで見せられたのが沖合津波水圧計で、「これで津波が通過したときの水圧の変化を探知し、沖合津波観測情報を発信します」と説明する。

   石原「2年前の津波の時にこの水圧計は設置されていなかったのですか」

   尾崎「設置はされていましたが、まだ完全なマニュアルがなく、情報を十分に活用するということができませんでした」

   カーナビなどでもお馴染みのGPSも津波観測に使われている。「GPS波浪計は海面の上下変動を観測し、変動が大きい位置と変動の大きさを教える計器です」と尾崎は話す。最後に登場したのが昨年12月(2012年)から導入されているブイ式海底津波計だ。

   尾崎「これは沖合400キロ前後の場所に設置し、5000メートル前後の海底に津波計を沈め、コードレスで警報を発するというもので、これまで以上により早く警報を発することができます」

津波被災者「どんな堤防作っても逃げるまでの時間稼ぎ」

   石原は「津波の被害に遭わないためには、とにかく逃げることです」と話す。コメンテーターの青木理(ジャーナリスト)は「2年前の津波で岩手県釜石市の小学生に1人の犠牲者も出なかったのは、警報が出てすぐに高台に逃げたから。とにかく山などの高いところに逃げることが重要ということなんですね」と語る。いくら観測機器が発達しても、その警報を聞いて逃げなければ意味はない。

   司会の羽鳥慎一「三陸を取材して地元の人たちが話していたのは、高い防潮堤を築いても、それは津波が街中に流入してくる時間稼ぎにしかならない。水が流れ込んでくるのは止められないということでした」

   まず海岸沿い地域に避難路を作り、逃げる時間を確保するために防潮堤という順番だろうと思うが、いま進められている国の防災計画はとにかくデカい防潮堤を作れということ。コンクリート公共事業で建設関係は潤うのだろうけれど、東日本大震災の教訓は、どんな防潮堤でも大津波は食い止められないということじゃなかったか。天災は忘れたころにやってくるんだ。また、同じ悲劇が起こるぞ。

文   ナオジン| 似顔絵 池田マコト
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