実際数値の半分しか出ない文科省「放射能測定値」
特集の2番目に「私は文科省から放射能測定値改ざんを強要された」とする「アルファ通信」豊田勝則社長の告白が載っている。豊田社長は2011年7月に、文科省が福島で設置する放射能線量を測定する「モニタリングポスト」の入札に参加し600台を受注した。私が以前から主張しているように、文科省の放射能測定はガンマ線だけでアルファ線やベータ線は測っていないから、その時点で「線量隠し」が行われているのである。
その上、600台の設置を終えたら、文科省は手持ちの測定器を持ち込み、「設置した6台を検査した結果、2割ほど高い数値(文科省の資料では15~40%)が出たから、これではダメだ」といい始めた。
それからもやり取りがあり、納期期日の直前になって、「アルファ通信」の技術技師・武藤真人らを呼び出し、データに疑義があるから3日のうちにすべての測定器を再測定したうえで新しいデータを提出しろ」と強要する。
嫌がらせ以外の何ものでもない。「アルファ通信」側は昼夜分かたず努力をして、ほぼ全部の設置を終えたにもかかわらず、文科省は期限までに全部設置できなかったとして一方的に契約を解除してしまうのだ。
この後に、「NEC」と「富士電機」が「アルファ通信」と同じ場所に設置したモニタリングポストの値が、「実際の半分ほどの線量しか示さないことは、本誌の独自調査(3月8・15日号)で報じたとおりだ」(フライデー)となっている。
「アルファ通信」は文科省を相手取って損害賠償請求訴訟を起こし、現在係争中である。線量隠しの実態と原子力ムラ以外の業者の参入を何としてでも阻止したかった文科省の「目論見」が露見するのは時間の問題であろう。
3本目にはNHKの売れっ子だった堀潤アナウンサーが、反原発発言などをツイッターで発信したことを局内で問題視され、番組終了とともにUCLAに留学しながら反原発のドキュメンタリーをつくったことを報じている。
日本人は忘れては絶対いけないものまで忘れてしまう民族である。最近のアベノミクス礼賛報道も同じ根っ子から出ている。われわれの世代が生きている限り、福島第一原発事故のことを忘れてはいけない。そのことを2年目を迎える3月11日に心に刻み込まなくては、永遠に「バカの壁」を乗り越えられない。